労務費明示で交渉有利に/国交省が元下調査/「見積もり全額確保」7割超

2026年4月1日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、建設工事の元下契約を対象とした労務費交渉や価格転嫁の最新調査結果を明らかにした。下請目線からの回答で、労務費を内訳明示した見積書を元請に「(おおむね)交付している」のは71・3%。内訳明示した労務費を含む見積もり額の「全額が支払われる契約」となったのは75・6%だった。改正建設業法で努力義務化された労務費などを内訳明示した見積書の作成に対応することで、不利な立場にならず元請との価格交渉ができているとの見方もできそうだ。
 2025年度「下請取引等実態調査(元下調査)」の結果を公表した。調査票を送った建設業許可業者3万者のうち、1万9964者が25年7~9月に寄せた回答を集計した。調査時点では改正業法に基づき労務費などの見積もり規制が発効する前だが、現状の取引状況を把握した。
 内訳明示した労務費の価格交渉の結果を細かく見ると、見積もり額を全額確保したケース以外は「見積もり総額は減額されたが労務費を全額確保」が18・2%、「労務費の一部を減額」が4・0%などの結果だった。労務費を減額されたケースを対象に、最初に元請へ提出した「当初見積書」と価格交渉を経て契約に反映した「最終見積書」の労務費の差額を深掘りしたところ、1割程度の減額が37・1%、2割程度までの減額を合わせると69・4%だった。
 国交省は建設Gメンの活動を本格化した24年度に元下調査の「2次調査」を開始した。元請など注文者との取引で見積書の減額や短い工期、価格転嫁の協議拒否があったと回答した下請・受注者に、任意での詳細な情報提供を依頼している。労務費の減額は、個別工事の具体的な額や1人工当たりの単価を確認し実態を把握。法令違反が疑われるケースは地方整備局などと共有し、翌年度の建設Gメン調査や立ち入り検査の端緒情報として活用している。
 改正業法の全面施行で著しく低い労務費による見積もり提出や見積もり変更依頼は禁止となった。改正業法で法定調査と位置付けられた元下調査などを取っ掛かりに、国交省は法令違反行為の行政指導につなげる方針だ。