建築へ/建築家と住設メーカー社員が都内でトークセッション

2026年4月3日 論説・コラム [16面]

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 ◇いま、家づくりに求められていることとは
 今、家づくりに求められていることは何か。建築は、時代を映す鏡と言われることがある。人々のライフスタイルが多様化する中、家のカタチもさまざまに変化を遂げている。こうした中で、家づくりの現在のキーワードは何か。LIXILが3月25日に都内で開いた「LIXIL Exclusive Brand Preview」で、2人の建築家がそれぞれの活動を通じて導き出した答えを語った。
 登壇したのは、大西麻貴+百田有希/o+h共同主宰の大西麻貴氏と、高濱史子小松智彦建築設計代表の高濱史子氏、LIXIL常務役員Design&Brand Japanの羽賀豊氏。モデレーターはライターの山田泰巨氏が務めた。
 冒頭、大西氏と高濱氏は、コロナ禍を経て施主の要望が変化していると感じていると語り、それぞれの根拠を示した。大西氏は「もう少し土地とつながりながら暮らしたいとか、小商いもできる家を考えたいといった依頼が増えている。コロナを経て、どのように暮らしたいか、どのように生きていきたいかを考える機会が増えたのだろう」と説明。高濱氏は「外部とのつながりというか、住みながら内部と外部との関係性を強く求めていると感じている。多くのマンションやアパートで半屋外空間が求められている」とし、環境問題への意識の高まりもあり「環境に配慮した素材にも意識が向いている」と現在の傾向を分析した。
 羽賀氏は、今の住宅に必要なことは「基本性能」だとした上で、「窓一つをとっても、断熱性がしっかりしている窓の方が快適だ。ただし重要なのは、(眺望が良い)大きな窓でありながら性能も良いという、ある種相反する要素をきちんと両立させることだ」と、メーカー側の視点を提示した。
 トークセッションでは、LIXILが発表した新ブランドスローガン「愛すべき日常を、つくろう」についても深掘りした。
 羽賀氏は、新ブランドスローガンの基になった言葉「ライフスケープ」を説明。「スケープには風景、情景という意味がある。人生とか生活を掛け合わせた生活の積み重ねを人生と捉えると、それがどのような情景になるか。一つ一つの生活シーンの積み重ねが風景をつくるからこそ、住宅を使う人々に愛すべき日常を体験してもらいたい」と、スローガンに込めた思いを語った。
 これを受け、高濱氏は「丁寧に一つ一つの場所をつくることが、住宅全体のライフスケープを形づくる」とコメント。LIXILのものづくりの考え方に触れ、「建築を手掛けていると家具やドアノブなどもデザインしたくなる。ただ、住宅には機能性や耐久性など、製品として担保しなければならない要素があり、すべてをデザインできるわけではない」と指摘。その上で「複数の選択肢をシンプルに、さまざまな空間になじむようにつくってくれるのは、建築家としてありがたい」と語った。
 時間の積み重ねについて、大西氏は施主と共に素材の生産現場などを巡っていることを例に挙げ、自身の考えを示した。「家をつくるプロセス自体を学びの機会にしたり、楽しんだりすることが、暮らしへの愛着につながっていると最近感じている」と述べた。その上で「一つ一つの素材がどのように生まれてきたかを知ることで、出来上がったものの背後にある物語を感じながら暮らせる」とし、「時間をかけて変化していくことにも愛着を持って眺められるプロセスになる」と語った。

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