大成建設/自然な森を早く育てる手法開発/開発影響を分かりやすく定量評価する手法も

2026年4月27日 技術・商品 [3面]

文字サイズ

 大成建設は都市部や造成地の緑化工事向けとして、生物多様性に配慮しながら早期に低コストで森林をつくる手法を開発した。生育の早さが異なる樹種の苗木を混植し、施工から数年ほどで生態系が劣化しにくい自然林に近い森を形成できる。土地開発が自然に及ぼす影響を分かりやすく定量評価する手法も確立。自社の技術提案に活用し、カーボンニュートラル(CN)の実現や持続可能な社会の構築に向けたグリーンインフラの整備需要に応える。
 「T-GROVEUP」では、エゴノキやアカメガシワなど日当たりの良い裸地でも早く成長する「先駆種」と、シラカシやミズナラなど成長が緩やかで長期的に森をつくる「遷移後期の種」を混ぜて植樹する。先駆種が育つ過程で日陰や土壌など遷移後期の種の生育に適した環境が整えられ、植生の移り変わりに沿った自然な森林を形成する。樹種の選定には、独自データベースを基に地域の気候や風土に合った植物を提案する同社のシステム「森コンシェルジュ」を活用。東京都青梅市内の実証試験で有効性を確認した。
 大規模な実物件への適用初弾として、大成建設グループ次世代技術実証センター(福島県田村市)で進めている森林約2ヘクタール、半自然草原約5ヘクタールの整備に導入を計画する。地元周辺で採取した在来植物の種子を育て、良質な自然環境をつくる方針だ。開発を率いた大成建設の福島真理子氏は「自然本来の成長プロセスを引き出し、強く安定した森林を形成できる」と語る。
 先んじて、生物が生息する場としての価値を、土地の面積と土地被覆の「質」を乗算して算出する評価手法「Japan Biodiversity Metric」を16日に公開した。土地被覆の質は、事業者の行動や生息環境の状態を示す三つの係数で評価する。設計プランの比較や検討、保全活動による生物多様性に貢献する度合いの把握などさまざまな場面で活用できる。詳細な現地調査を前提とせず、計画段階から評価が可能。過去の工事でも同じロジックに基づきさかのぼって評価可能だ。