政府は24日、中小企業庁がまとめた2026年版の「中小企業白書・小規模企業白書」を閣議決定した。人口減少からの「労働供給制約社会」の到来とインフレ・金利のある時代への移行を見据え、「稼ぐ力」と、組織を効率的に管理・運営する「経営リテラシー」の強化が必要と指摘した。稼ぐ力の強化に取り組んでいる企業が、人材育成や価格転嫁といった企業の付加価値の増加につながっていると分析した。
稼ぐ力を強化することで、原資を確保しながら賃上げを持続し、人手不足を乗り越え、供給力を維持・向上させることが重要と強調している。稼ぐ力の取り組みに、成長投資と成長分野への挑戦、M&A(企業合併・買収)による事業・組織構造組み替えを決断できる経営力、AIトランスフォーメーション(AX)を挙げた。経営リテラシーは「業績や人材確保などで明確な違い」を生み出すというメッセージを盛り込んだ。
企業間連携によって製品開発や資源の共有を進めることが労働生産性の向上に有効だとした。大企業レベルの労働生産性がある中小企業の存在に着目し、成長投資、研究開発、人材育成、価格転嫁といった付加価値を高める取り組みと、AI活用、デジタル化などによって労働投入量を減らす対応が有効と指摘した。
25年の調査から、建設業などを人手不足感の強い業種に挙げた。中小企業の雇用者は40年に18年の8割半ばに減る可能性があると試算し、人手不足の深刻化を懸念した。中小企業の時間当たりの労働生産性の推移を初めて示し、24年度は1人当たり15年度比25・5%増の3621円。業種別のうち建設業は24年度が4351円(23年度4167円)だった。
成長のための設備投資に関する調査として、建設業は投資に取り組んだ割合が54・8%だった結果を記載した。AI活用を巡っては、調査に回答した企業の30・3%が「取り組んだ」と回答。バックオフィス部門での活用が目立った。
経営リテラシーの取り組みで、東陽電気工事(福島県西郷村)の事例を紹介した。給与体系を見直すとともに、勤続年数重視から技能・技術力、工期管理を評価する制度に改め、開設した研修施設でベテラン職人が配線や器具の取り付けの基礎を伝授している。離職率が低下し、平均年齢が下がった。企業間連携の事例には、愛知県豊川市の「こざかいのお家のお医者さん」を挙げた。リフォーム工事を手掛ける5者の連携体で、顧客を統一した上で直接受注に取り組んでいる。顧客が増え、事業を維持・拡大できているという。






