夏の足音が、すぐそこまで近づいてきた。年々厳しさを増す暑さは、屋外で働く建設業の技術者や技能者にとって、命に関わるリスクとなる。特に真夏の現場では、熱中症対策が安全管理の要。建設会社や現場向け製品のメーカーは対策を一段と強化している。夏季限定の週休3日制導入など、働き方や現場運営を見直す動きが広がる。作業中の体感温度を下げる製品開発も進む。過酷な暑さから現場従事者を守ろうと、知恵と技術を総動員している。
気象庁によると、2025年6~8月は全国153カ所の気象台などのうち、132地点で平均気温が過去最高を更新した。最高気温が40度を超える「酷暑日」も9日を数えた。4月21日に発表した5~7月の天候見通しによると、平均気温は平年を上回ると予想している。
建設会社やメーカー各社も、今夏は昨年以上に厳しい環境になることを見据え、現場従事者の体調管理を最優先した対策強化を進めている。現場運営で柱となるのが週休3日制の導入だ。トーエネックは昨夏、架空配電線部門の技能職と技術職を対象に試行した。鴻池組は、業界初とする「包括的酷暑対策ロードマップ」を策定。今夏から連続休暇や週休3日制などを導入する。いずれも連続勤務を避け、体内にこもった熱を確実に逃がす狙いがある。
特に厳しい環境での作業が想定されるのが、高温のアスファルト混合物を扱う道路舗装工事の現場だ。昨秋から今春にかけて各地で開かれた日本道路建設業協会(道建協、西田義則会長)と国土交通省地方整備局などとの意見交換会では、熱中症対策が議論の焦点になった。
ある道路舗装会社の関係者は、降雨時に施工できないという工事特性も触れつつ、「現場従事者の体調管理が最優先だ。歩掛かりの引き上げや柔軟な工期設定が前提になるが、大胆な休日・休憩確保など、さまざまな可能性を模索したい」と話す。
現場向け熱中症対策製品の開発も相次ぐ。安藤ハザマは、高温多湿になりやすい山岳トンネルの坑内向けとして、一定温度で熱を吸収・放出する素材を採用した冷却プロテクターを開発した。仙台銘板(仙台市青葉区、鹿又浩行社長)を通じて月内に販売を始める。
アクティオは、市販のペットボトル飲料をフローズン状にできる「アイススラリー冷蔵庫」のレンタルを開始した。液体よりも素早く体内が冷やせる点に着目。開封後もフローズン状のまま保存できる「作りおき保存モード」機能も備え、1回で飲みきれなかった分を次の休憩時に飲めるようにした。
25年6月には、厚生労働省令による改正労働安全衛生規則(安衛則)が施行され、職場での熱中症対策が義務化された。建設各社も現場対策を強化しているが想定を超える暑さもあり、建設業就業者の熱中症災害は増加している。厚労省がまとめた「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(25年12月末速報値)によると、建設業の死傷者数は前年に比べ62人多い278人に上った。職場環境の改善は働き方改革の要。過去の事例も教訓にして、建設各社は酷暑に備えた対策を本格化させる。







