「建築から、ひとを感じる、まちを知る」を理念に、今年で3回目を迎えた建築体験イベント「東京建築祭2026」が閉幕した。16~24日の9日間(メインイベントは23、24日)に200以上のプログラムを開催。新たに渋谷エリアが加わり、過去最多の151件の建築が参加した。普段非公開の建築や場所、大使館、大学キャンパスなどを巡り、東京のまちと建築の多彩な姿と魅力を存分に体感してもらった。
主催は実行委員会。▽上野・本郷・湯島▽神田・九段▽大手町・丸の内・有楽町▽品川・三田・白金-などにある歴史的建物や近代建築を対象に、無料の特別公開やガイドツアーを行った。
上野・本郷・湯島エリアでは東京芸術大学赤レンガ1号館、旧岩崎邸庭園などを特別に公開した。東京芸大の赤レンガ1号館は都内最古の赤れんが建築。1880年の完成以来おそらく初めて、外部の人を迎え入れた。旧岩崎邸庭園にたたずむ、日本でも珍しいスイス山小屋風コテージの撞球室(ビリヤードルーム)を特別公開した。
神田・九段エリアでは安井建築設計事務所東京事務所、旧近衛師団司令部庁舎などを特別に公開した。築約60年のオフィスビルをリノベーションした安井建築設計事務所東京事務所では、「ひらく、つなぐ、はぐくむ。“人やまちを元気にする”とは何か。」をテーマにオープンハウスを開催した。
24日のトークセッションは、空間・施設・まちづくりのコンサルティングなどを手掛ける田中元子氏(グランドレベル社長)をモデレーターに、安井建築設計事務所の村松弘治氏(取締役兼副社長執行役員)や佐古慎一氏(常務執行役員東京事務所長)、若手・中堅社員が登壇。同社東京事務所「美土代クリエイティブ街区」を題材に、まちを元気にするための設計事務所の役割や取り組みなどについて意見を交わした。
同社、石本建築事務所、佐藤総合計画、東畑建築事務所が連携し立ち上げた「建築ミライラボ」主催のワークショップ(WS)も東京事務所内で開催。折り紙で自分だけの建物を作り、建築やまちの未来への願いやアイデアを書き込む参加型プログラム。参加者一人一人の思いを集めた「ミライ地図」を完成させた。
大手町・丸の内・有楽町エリアでは新東京ビルヂングや旧東京中央郵便局などで特別展示を行った。新東京ビルヂング2階の丸の内フォトギャラリーで、設計を手掛けた建築家・杉山雅則(1904~99年)に関連する建築資料を展示した。建築家・吉田鉄郎(1894~1956年)が設計したモダニズム建築の名作・旧東京中央郵便局は4階旧郵便局長室と地下広場で、創建当時の図面や保存工事の概要などの建築資料を特別に展示した。
品川・三田・白金エリアでは港区立郷土歴史館、慶応義塾三田演説館、東京都庭園美術館などを特別に公開した。三田演説館は福沢諭吉が建設した日本最初の演説会堂。慶応義塾で福沢の存命中から存在する唯一の建築を23日に1日限定で特別公開した。
その他エリアでは、NOVARE Archives(清水建設歴史資料館)や久米設計本社ビルを特別公開。日建設計東京オフィス(本店)では、3D再現技術で建築を解剖する新たな展示手法を特別に披露した。
建築家や技術者、研究者らがガイドを務め、名建築を見学するツアーを数多く開催。トークイベントやWSなど、建築の専門家から初心者まで幅広く楽しめる多彩なイベントも実施した。
実行委員長を務めた建築史家の倉方俊輔氏(大阪公立大学教授)は、関係者に感謝した上で「まちは誰かによってつくられ、保たれ、受け継がれてきた。一つ一つの建築には、まだ知られていない物語がある。それを知ることで見慣れた風景が新しく見えてくる。その喜びを多くの方々と分かち合えたことが、今年の大きな成果だった」とコメントしている。
東京建築祭2027の開催も決定。会期は2027年5月15~23日を予定する。







