国交省/砂防事業の遠隔・自動施工を推進/有識者検討会が初会合、26年度内に提言

2026年6月11日 行政・団体 [1面]

文字サイズ

 国土交通省は、砂防事業で遠隔・自動施工の普及促進に乗り出す。堰堤構築や床固工などの砂防事業は、急峻(きゅうしゅん)で狭い山間部や火山地域などでの工事になる。将来的な担い手不足や土砂災害の頻発を背景に、省人化への対応が不可欠になっている。国交省は、砂防事業の安全性と生産性を高めるため、方策を議論する有識者検討会を設置した。8月ごろに中間取りまとめを行い、年度内に提言を策定する。
 10日に「砂防関係事業における遠隔・自動施工の推進検討委員会」の初会合を都内で開いた。検討対象は砂防、地滑り対策、急傾斜対策などの災害時の緊急対応から事前防災までの全工事。遠隔・自動施工に関する調査、測量、計画、設計積算、維持管理なども想定する。
 検討会では、遠隔施工の事例として関東地方整備局の日光砂防事務所の取り組みが紹介された。危険な高所や急斜面での掘削やのり面形成などで、リモコン操作による高所無人掘削機「ケンファイター」を活用した。
 従来の人力作業では、60日の作業日数(全行程が危険作業)が想定されていたが、当該工法の採用で作業日数は21日(うち危険作業は5日)に短縮。直接工事費は想定の約1270万円が、約1060万円に削減できた。
 一方で、砂防関係事業のDXの取り組みは、一部の意欲的な事業者による取り組みが中心で、一般化していない現状がある。砂防現場特有の課題として▽中山間地域での通信環境の制約▽施工箇所までの長距離移動▽環境配慮に伴う施工時期の制約-などがある。これらの課題を踏まえ、同検討委は遠隔・自動施工の推進に必要な事項を議論する。
 初会合で林正道水管理・国土保全局長は「砂防やダムの現場は一定の条件下で施工を繰り返すケースが多く新技術の実証や導入に適したフィールドだ。最先端技術を積極的に現場へ実装し、建設産業全体の省人化・高度化につなげたい」と検討成果に期待した。