中東情勢の行方を建設業界が注視している。15日、米国とイランの戦闘終結に関する発表がなされ、高市早苗首相はSNSで「事態収束に向けた大きな一歩」と発信した。一方、建設業界からは「引き続き楽観視できない」(大手ゼネコン幹部)と工程や価格への影響を注視する見方がある。ある大手道路舗装会社の幹部は「ストレートアスファルトの供給がすぐ元通りになるわけではない」と話す。関係省庁の事態を見極めながらの対応がしばらく続きそうだ。
同日、米国とイランが戦闘終結に関する覚書に合意したと発表した。19日に署名が行われる予定。高市首相は覚書が着実に実施され、ホルムズ海峡の自由で安全な航行が実際に確保されることを求めた。
ただ、政府は「署名の実際の効力、どういった対応をするか状況を注視する」(経済産業省幹部)方針。第3弾の石油国家備蓄の放出は行わないものの、当面1カ月は民間備蓄の引き下げを継続し、必要量の供給を進める考えだ。
地域建設業の元請関係団体幹部は「海峡の開放は前進だ」とする一方、「また何か起きれば海峡封鎖される可能性がある」と指摘。その上で「リスク分散を進めるには設備側の汎用性向上が課題になる」との見方を示した。大手道路舗装会社の幹部は「ストアスに必要なのは重油を製造しやすい中東産原油であり、その安定供給が懸念される。今後の状況がもう少し明確になった段階で、事業計画を見直す可能性もある」と展望した。
国土交通省は、港湾工事に対する中東情勢の影響について関係団体に聞き取り調査を行った。その結果、受注者による前倒し調達や備蓄・代替資材の活用、工程の組み替えなどにより現時点では工期延長や工事中止、入札不調・不落といった深刻な影響は認識されていないことを確認した。
ただ、船舶が岸壁や桟橋に接岸する際の衝撃を吸収するために使う防舷材や、泥水・汚濁物質の拡散を防ぐ役割がある汚濁防止膜の価格が上昇していた。ケーソン製作に欠かせないアスファルトルーフィングの品薄状態が続いていることが分かった。
国交省は既に建設資材の最新の市場価格を反映した積算や、単品スライド条項の活用に関する事務連絡を出している。同省担当者は「引き続き業界団体や整備局を通じて情報収集し、適切に対応していく」としている。政府はホルムズ海峡依存に関し「リスクを考えながら、パイプライン、拠点、開拓できた代替ルートどれが望ましいか考えていく必要がある」(経産省幹部)としている。








