26年熊本地震/酷暑、断水も懸命な応急復旧/地域の守り手が総力

2026年8月7日 行政・団体 [14面]

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 26年熊本地震の発生から10日が経過した。熊本県内では道路の段差や亀裂が発生して交通網がまひしたほか、球磨川の堤防損傷など重大なインフラ被害が相次いだ。追い打ちをかけるような連日の猛暑と水道の寸断。過酷な状況下で、地域住民の安全・安心な生活を一日も早く取り戻すため、自らも被災しながら、休日返上で地域建設業者らが応急復旧に奮闘している。 =1面参照
 1級河川であり、過去の豪雨でも甚大な被害を受けた球磨川では、八代市内の3カ所で台風の接近を警戒し、一日も早い復旧を目指して緊急応急復旧工事が進む。古麓町と渡町の2カ所で発生した約40メートルの堤防横断亀裂では、中山建設と福岡建設(いずれも八代市)が工事を担当し、5日に応急対応を完了した。
 最も長い約250メートルにわたって堤防横断亀裂が発生した萩原町の現場は河川を管理する九州地方整備局八代河川国道事務所の真裏に位置し、土井組(同市)が工事を担当。現場責任者を務める山下正勝土木部次長は、自らも被災しながら指揮を執る。山下氏は発災当日、震度7を記録した氷川町にある同社施工の現場事務所におり、緊急地震速報の前に激しい揺れに見舞われた。大型複合機が1メートルほど横に動くほどの衝撃だったという。
 震度4以上で河川巡視を行う防災マニュアルに基づき指示を仰ごうとしたが電話がつながらず、通行できる道路を探しながら同事務所八代出張所を目指した。日没が迫っていたため本格巡視は7月29日朝からとし、同日正午に1回目を完了。午後からは巡視と被災箇所を砂で埋める作業を開始し、萩原町の現場で緊急応急復旧工事に着手した。
 同工事では最大2メートルのクラックの深さまで堤体の土を除去し、再度盛り土して締め固める「切り返し」を行い、川側ののり面にはブロックマット、陸地側にはブルーシートを張る。24時間態勢の3交代制で、1日当たり約50人の作業員を投入。バックホウ6台、振動ローラー2台を稼働し、掘削した土量は7000立方メートル以上に及ぶ。
 4日に降った雨が「恵みの雨と感じた」(山下氏)ほどの猛暑の中、体調管理に努めながらの作業。山下氏自身、自宅で物が散乱する被害を受けながらも、「地域の守り手」としての責任感を胸に現場に立ち続ける。
 八代河川国道事務所の末吉仙英副所長は、「災害協定に基づく建設業界の協力があって工事を進められている。緊急応急復旧完了のめどが見えてきたが、まだ第1フェーズ。本復旧も控える中、出水期に入るため通常は週2回程度の河川巡視を1日おきに行うなど監視を強める」と話す。
 過去の熊本河川国道事務所での勤務を引き合いに出し「その経験が判断の道しるべとして生きている。前回の熊本地震では緑川で応急復旧箇所が11カ所ありずれもひどかったが、今回はクラックが中心だ。前回、球磨川では応急復旧に至るほどの被災はなかった」と振り返った。

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 交通やその他のインフラ被害も深刻だ。西日本高速道路会社が管理する南九州自動車道の妙見第一橋(八代市)では上下線で橋梁ジョイントの損傷や桁ずれが発生。6日にはクレーン車3台が稼働し、橋梁上部工を支える仮支柱の設置が行われていた。周辺では田んぼや住宅で1メートルほどの隆起・沈下、八代神社(妙見宮)の楼門倒壊など一帯に地震の爪痕が残る。八代港では外港、内港の主要岸壁や背後地で段差や陥没などの被害が発生した。
 こうした中、熊本県建設業協会には他県の建設業協会から支援が寄せられた。熊本建協八代支部には7月31日、大分県建設業協会中津支部などから紙おむつや飲料水などの物資が届き活用された。7日には鹿児島県建設業協会川内支部からも届く予定だ。八代支部の國岡雄幸事務局長は「いただいた支援物資を各地の避難所へ輸送するのが課題となる」と話す。
 九州整備局は5日、氷川町のボランティアセンターに対策本部車を配置。近くでは水資源機構の可搬式浄水装置も設置され、入浴施設用の水を確保していた。救援とインフラ復旧に向け、官民一体となった支援と工事が続けられている。
 地域建設業者は総出となり、発災翌日の夜明けと同時に被災状況の確認を進め、必要な箇所の応急復旧に努めてきた。
 熊本建協八代支部の高野大介支部長によると、同支部では救援物資の輸送や生活再建、緊急車両の通行、そしてインフラの本格的な復旧を支える生命線である道路の通行確保を最優先に応急復旧に当たってきた。「国道3号は対面通行の松橋以南の渋滞がひどく、緊急車両の通行確保のためにも4車線化が必要」と指摘する。
 高野支部長は酷暑で作業スピードも鈍る中、「メンタル面も含めて会員の疲労はピークに達している。それでも有事の際には地域の人々の生命、財産を守るのが第一という使命感を持って動いている」と強い覚悟を口にした。