建設技術研究所/洪水予報技術活用し浸水予測情報を住民に提供/民間初の業務許可取得

2026年9月7日 技術・商品 [3面]

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 「どれだけ雨が降るか」だけでなく、「どこが、いつ、どれだけ浸水するか」を予測する。建設技術研究所が、水災害リスクを地図上に示す独自技術を防災の現場に生かしている。2024年11月に国内企業で初めて、気象業務法に基づく「洪水予報業務」の許可を取得。気象庁の雨量情報と地形、河川などのデータを組み合わせ、浸水リスクをリアルタイムで予測する。自治体の避難判断を支える情報として、活用の場を広げている。
 基盤となるのが、17年に開発した水災害リスクマッピングシステム「RisKma(りすくま)」だ。地形や過去の災害を分析したモデルに気象庁の雨量データを重ね、水害の危険度を算出。浸水範囲や深さを地図に表示する。雨量そのものではなく、地域ごとの災害リスクに置き換えて示す点が特徴になる。
 背景には、23年5月の気象業務法改正がある。国と都道府県に限られていた洪水予報を企業も行えるようになり、同社は24年11月、静岡県を流れる富士川水系の1級河川・潤井川流域を対象に、国内企業として初めて洪水・水位の予報業務許可を取得した。県内を流れる2級河川全般も、水位観測データと降雨予測情報を組み合わせた水位予測モデルを作成した。
 実際の防災現場にも導入している。25年5月からは静岡市を流れる2級河川・巴川で浸水情報システムを運用。河道断面や地形などのデータを基に、1時間後までの浸水範囲や浸水深を予測し、市民にリアルタイムで伝える。
 群馬県では、防災情報サイト「かわみるぐんま(群馬県河川防災情報)」の構築を技術面から支援した。県内河川の水位や想定雨量などを一括管理し、36時間後までの水位や洪水の危険度、6時間先までの浸水範囲を予測。県や市町村の防災担当者が避難情報を発令する際の判断材料として提供している。
 水害の頻発、激甚化に伴い、浸水予測の精度と即時性は避難の成否を左右する。8月中旬の千葉豪雨では、被害が大きかった柏市に提供しているりすくまへのアクセスが増え、SNSでも話題になったという。
 同社は、静岡県内での運用を通じて予測モデルの精度を高めてきた。一方、「水系が変わると浸水の起こり方も変わり、水災害リスクを一律の基準で予測するのは難しい」とみる。今後は水系ごとの水位や流量を計測し、地域ごとに予測モデルを構築する方針だ。雨量を知らせるだけの防災情報から、浸水の「場所」と「時間」を示す情報へ。実際の避難行動につながる予測技術として精度を高める。