山木工業(福島県いわき市、片桐剛寿代表取締役)が建造していた300トンつり全旋回式起重機船の「あかつき」が完成した。二酸化炭素(CO2)と窒素酸化物(NOX)を減らす環境配慮型の内燃機関に加え、ICT施工管理システムなど最新の設備や機能を導入した。片桐代表取締役は「今の時代に合った船ができた」と語る。月内の稼働開始を予定している。=1面参照
5日にいわき市の小名浜港2号ふ頭第5バースで新造船を公開した。あかつきは、300トンつりのクレーンと海底土砂をすくうバケットを装備した全旋回式の起重機船。船体は総重量1447トン、長さ65メートル、幅24メートル、型深4メートルの規模。船尾に連結した19トンの押船「暁風(ぎょうふう)」と、いかりを引き上げる14トンの揚錨船「暁星(ぎょうせい)」と組み合わせ、港湾施設関連など多岐にわたる海上工事に使う。
既存の起重機船「波久登」から環境性能を引き上げ、船底をトンネル型にして燃費を改善した。稼働時は2本のスパッドを海底におろして船体を固定する。従来のアンカー固定と比べ、地形や生態系への影響が最小限に抑えられる。内燃機関の燃料はA重油から軽油に変更。既存船に比べCO2排出量を3・4%、NOXも大幅に減らす。船上には太陽光発電用パネルも搭載し、日中の余剰電力を夜間に活用する。
水深や海底の状況を把握しながら作業できる位置誘導システムを導入。手戻りを極力減らし、効率的な施工管理を実現する。潜水士の位置とクレーンの先端位置を計測し、接近時に警報を鳴らすシステムも構築した。船員が携帯する発信器で落水を自動検知するシステムも導入。船体の前方や側方に監視カメラを設け、操舵(そうだ)室からの死角を減らして衝突事故を防止する。
新型起重機船は熊本ドック(熊本県八代市、加藤勝社長)、クレーンはSKK(高知市、島内宏代表取締役)がそれぞれ製造した。8月に小名浜港に入港。月内にも工事で稼働させる予定だ。年間120~150日程度の稼働を見込む。
山木工業の所有船は「あかつき」の完成で2船団体制になる。オリエンタル白石の照井満社長は「2船団体制の機動力を生かし、日本の港湾工事に一層の貢献を期待している」とコメントした。両社が持つ橋梁上部工や港湾土木など豊富な施工の知見を融合。グループシナジー(相乗効果)を発揮してさらなる成長を目指す。









