国交省/労務費行き渡りの調査着手/個々の請負構造に分け入る

2026年10月6日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、適正な労務費に基づく建設工事の見積もりや賃金支払いの新たな実態調査に乗り出す。「労務費に関する基準(標準労務費)」との比較で適正かどうかを把握し、法令に基づく対応を現場で浸透させる対策の検討に生かす。ごく少数の個別工事をサンプルに、労務費の行き渡りを阻害している要因を洗い出す作業も始める。特に、民間建築の重層的なサプライチェーン(供給網)・下請構造に分け入り、処遇改善のボトルネックを明らかにしたい考えだ。
 標準労務費に関する中央建設業審議会(中建審)のワーキンググループを5日に開き、現場運用のフォローアップを目的とする三つの調査の実施方針を決定した=表参照。いずれも職種や工事を限定したスモールスタートとし、単年度で終わらせず今後の継続・発展を視野に入れる。
 民間建築分野の実態把握を狙いに、見積もり段階の調査は鉄筋、型枠の2職種、賃金の支払い段階の調査は左官、内装の2職種を対象とする。
 見積書では記載された労務費と、工種・作業別に設定された標準労務費の具体的な「基準値」を比較する。賃金は建設キャリアアップシステム(CCUS)レベル別年収との差を見る。各職種の団体を介して都道府県や地域ブロックごとに何社か選定し、調査に協力してもらう。
 行き渡りの阻害要因はデベロッパーが発注する大規模な民間建築工事と、住宅メーカーが施工する住宅工事、都道府県が発注する土木工事の3類型から各1件を調査する。
 最も大がかりな大規模建築工事では発注者と元請にひも付く15~20社程度を調査対象とする予定。躯体系、仕上げ系、設備系の三つに分けて行き渡りの課題を洗い出す。
 会合では下請の立場から「処遇改善している企業から苦しくなっている。公共工事設計労務単価以上の単価での契約かどうか確認してほしい」との声があった。
 建築費高騰が物価上昇をはるかに超える水準なのに「なぜ末端(の技能者)にお金が行き渡らないのか。阻害要因を取り除く努力をサプライチェーン全体でやらなければならない」と発注者の立場で訴える委員もいた。