関西インフラ強化の会/大阪市でシンポジウム開く/新国土軸構想の実現へ

2024年5月27日 行事 [10面]

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 関西の産学官で構成する「関西のインフラ強化を進める会」(委員長・小林潔司京都大学経営管理大学院特任教授)は22日、大阪市内で第14回シンポジウム「新国土軸構想の実現に向けて」を開いた。一極一軸に集中する現在の国土軸構造を多軸構造に転換し、日本の均衡ある発展が求められる中で西日本4圏域(近畿、中国、四国、九州)の地方整備局長らが一堂に会し、交通ネットワークや港湾整備、防災・減災対策、観光振興など広域連携の在り方を活発に議論した。
 シンポジウムは約500人が出席。冒頭、谷本光司近畿建設協会理事長が「頻発する地震や風水害を背景とした国土強靱化が全国で展開され、国土形成計画に基づく地方計画の検討も進む。現行の国土強靱化5か年加速化対策に続く次のステージに入る時期でもあり、シンポジウムはタイムリーなテーマだ」と話した。
 続いて谷口博昭芝浦工業大学客員教授(建設業技術者センター理事長)が「新国土軸構想の実現へ」をテーマに講演した。谷口氏は東京一極集中や大規模災害を見据え「リニアで東京と大阪が約1時間で結ばれた時に関西、西日本がどのようなレベルのサービスを提供できるかを今から考えなければならない」と指摘。その上で「西日本を構成する4圏域の一体化が重要だ。新国土軸構想は軸でなく大きな圏域の構想であり、海峡を含め広域的な連携と交流を促すインフラは欠かせない。構想だけにとどめず実行へ歩み出す必要がある」と力を込めた。
 続く特別講演では、2025年日本国際博覧会協会理事を務めるパナソニックホールディングス参与関西渉外・万博推進担当兼テクニクスブランド事業担当の小川理子氏が大阪・関西万博の意義や目指す姿とともに、端材・廃材や使用済み家電を主要部材などに活用し「循環」に取り組む同社のパビリオンを紹介した。
 新国土軸構想の実現を考えるパネルディスカッションには長谷川朋弘近畿整備局長、岩崎福久中国整備局副局長、佐々木淑充四国整備局長、森戸義貴九州整備局長が登壇。小林委員長がコーディネーターを務めた。4圏域からは人口減少や南海トラフ地震など自然災害への備え、経済発展や観光振興、災害時のリダンダンシー(冗長性)確保の観点から道路ネットワークの充実などが共通課題に挙がった。観光資源、産業など各圏域が持つポテンシャルを最大限に生かした施策の展開と同時に、4圏域のトップは「陸海空のさまざまなネットワークで圏域の魅力などをつなぐ」ことの必要性を訴えた。
 西日本の広域連携の在り方について、九州整備局森戸局長は「九州と本州は鉄道や道路でつながり、空路や航路で近畿や四国とも結ばれている。新たな道路構想もあり、地域のつながりや交流が深まってこそ次のインフラ整備が動き出すことも多い。つながりの強化が西日本一体化の鍵になる」と強調。四国整備局佐々木局長は「関西圏を中心とした他圏域の発展のためにも四国新幹線が重要な役割を担う」と新たな軸として新幹線の具体化に期待を寄せた。
 中国整備局岩崎副局長は「中国圏は東西、四国圏域を結節する機能を持ち、港と幹線道路との連携強化が必要だ。南海トラフ地震発生時には支援部隊の最前線基地の役割もあり、支援活動が迅速に行える環境づくりを強化すべき」とした。近畿整備局長谷川局長は「西日本の国際ゲートウエーとして阪神港、関西国際空港を拠点とした西日本広域ネットワークの形成に取り組む。防災を含め四国圏域が孤立しないよう連携し支える役割も近畿にはある。さまざまな面で広域連携を意識し、お互いの圏域が補完し合う形での新たな取り組みを目指したい」と語った。
 小林委員長は「広域連携はハードルも多く簡単ではない。われわれの努力が問われる政策課題とも言える。夢を持ち、それを追いかけ一歩ずつ歩む必要性をシンポジウムを通じて改めて感じた」と締めくくった。