2025年日本国際博覧会協会は大阪・関西万博の象徴として整備された大屋根リングの活用に向けた検討会を2日に大阪市役所で開催した。会合では北側の一部を改修してモニュメントとして保存する民間提案や、南側がコスト面でリユースに適しているといった前提条件などを提示。ただ、いずれも費用対効果などを含め結論が出ず、最終判断は6月23日に予定する協会理事会に委ねることとなった。
大屋根リングは万博会場全体を一周する全長約2キロの木造構造物で、協会は大阪市と土地を更地に戻して返還する契約を交わしている。一方で、来場者アンケートでは大屋根リングの印象が極めて強く、「感動」「記憶に残る」といった評価が多く、シンボルとしての価値を評価する声が高まっている。
会合では府、市が募集した万博跡地の開発提案で、民間事業者から得たリング北側(夢洲2期区域)の一部約200メートルを形状を変えて残す案に加え、南側(夢洲3期区域)の約600メートルが水上という立地特性から解体工事が比較的安価ででき、リユースに適しているといった前提条件を提示した。
一方で活用の選択肢として全部または一部を残置か移設した場合に必要となる改修・維持管理費用を比較。その上で費用を拠出する主体は現れていないとした。
検討会後に会見した小野平八郎副事務総長は「大屋根の残置方針は国、大阪府、市、経済界の合意形成が不可欠であり、関係者間で調整を進め、理事会までに方向性を定める」と述べた。リユースに向けては「希望者の中には早期引き渡しを望む声もあり、7月までに需要量を見込んで建設事業者と契約を結ぶ必要がある」と説明。現時点で約10者から計1000~2500立方メートルの引き合いがあるとした。