熊本県/半導体産業推進ビジョンを初改定、出荷目標4割増の2・8兆円

2025年5月9日 行政・団体 [9面]

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 熊本県は半導体分野に特化した振興計画「くまもと半導体産業推進ビジョン」を改定した。2032年度の製造品出荷額の目標値を当初計画から44・9%増の2兆8000億円に設定。インフラ分野では、阿蘇くまもと空港アクセス鉄道の早期整備や、空港周辺での使用電力を100%再生可能エネルギーで賄う「RE100産業エリア」の構築などを進める。
 推進ビジョンは半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の菊陽町進出を契機に23年3月に策定し、製造品出荷額や県内の教育機関からの半導体関連企業への就職者数、関連企業の工場新増設件数など6項目で目標値を定めている。32年度までとしていた計画期間については、改定による変更はない。
 製造品出荷額はTSMCが第2工場を建設することを表明し、半導体関連企業の投資が活発になっている状況を反映させた。32年度の就職者数は、策定時の255人以上からほぼ倍増となる500人以上とした。
 新増設件数は130件から変更せず、円滑なサプライチェーン(供給網)構築に向け、セミコンテクノパーク(菊陽町、合志市)周辺の道路や交通安全施設の整備、公共交通機関の利便性向上などを進める。
 このほか脱炭素化やGX推進に向けて、地域共生型の再エネ施設の適地誘導を進め、陸上風力発電と地上設置型太陽光発電施設の立地に関するゾーニングなどを行う。
 県は3月に半導体関連産業や研究機関のさらなる集積に向けた方針となる「くまもとサイエンスパーク推進ビジョン」を公表しており、今後両ビジョンを関連させて施策を進める。