長谷工コーポレーションは、東京都杉並区に人の感性に働き掛ける仕組みを取り入れたモデル住宅「ivi house(アイヴィハウス)」を建設した。「生命を宿した住まいが人と調和する」をテーマに、ロボット研究で知られる大阪大学大学院の石黒浩教授らと共同開発。時間帯に応じて室内の照明や音響、香りが変化するなど、家からもてなしを受けるような感覚を体験できる。
所在地は高井戸西2の10の15。建物は在来軸組み工法のW造2階建て延べ100・33平方メートルの規模。長谷工グループの一戸建て部門を担う細田工務店(東京都杉並区、野村孝一郎社長)の施工で2024年8月に着工し、3月に竣工した。
未来の住まいをつくる「ivi project」の第1弾と位置付ける。室内は床や壁の角をなるべく取り除いて曲線とし、自然環境の広がりを感じる造形。人の動きに合わせ照明が点灯したり、16個のスピーカーが小鳥のさえずりや雨音を表現したりする。
プロジェクトの発足は、大阪・関西万博で石黒教授がテーマ事業プロデューサーを務めるパビリオンの建設に、長谷工グループが協賛したことがきっかけ。設計では石黒教授がコンセプトをつくり、人間の動作を研究するクリエーティブディレクターの菊地あかね氏とサウンドアーティストの佐久間海土氏、照明デザイナーの川口尚輝氏が形に落とし込んだ。
石黒教授は8日の報道向け内覧会で「ロボットが動きや話す内容の組み合わせで人間らしい実感を得るように、家も同じく、音や光の有機的なつながりで想像以上に自然を感じられた」と語った。長谷工コーポレーションの堀井規男常務執行役員エンジニアリング事業部長は「5年後の未来を実現するコンセプトの下、われわれだけではなし得ない五感に訴える家を目指した」と述べた。
アイヴィハウスは見学会などに利用した後、将来的に売却を予定している。