戸田建設、西松建設/環境配慮型コンクリ共同開発、材料由来のCO2排出ゼロ以下に

2025年5月14日 技術・商品 [3面]

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 戸田建設と西松建設が、工事の脱炭素化に向けた「カーボンネガティブコンクリート」を共同開発している。二酸化炭素(CO2)を吸収・固定化した炭酸カルシウムを添加し、材料由来のCO2排出量を実質ゼロ以下に減らす。コンクリートポンプ車を使用した実証試験を行い、現場打ち施工に成功した。本格実装に向け、開発を加速する。
 カーボンネガティブコンクリートは、2社が2016年に共同開発した低炭素型コンクリート「スラグリート」の配合がベースとなる。配合に使うセメントの多くを高炉スラグの微粉末に置き換え、材料由来のCO2排出量を最大85%削減。さらにCO2を固定化した炭酸カルシウムを添加し、材料起源のCO2の排出量を実質ゼロ以下に削減する。
 実証試験では、製造方法が異なる炭酸カルシウムを使い、2種類の配合でカーボンネガティブコンクリートを製造した。ポンプ車で圧送と打ち込みを行い、一般的なコンクリートと同等の強度や表層品質を確保できることを確認した。
 粉体量の多いコンクリートは、コンクリートの粘性が高く、硬くなりやすい。流動性を高める特殊混和剤を開発。ポンプ車で圧送できるようにして施工性を高めた。
 国内では年間7000万立方メートル以上のコンクリートが使用され、製造時のCO2排出量は約1900万トンに上る。2社はカーボンネガティブコンクリートの開発を通じ、脱炭素社会の実現に向けた貢献を強める。