政府/中小・小規模向け賃上げ施策パッケージまとめ、国への最低制限価格導入も検討

2025年5月15日 行政・団体 [1面]

文字サイズ

 政府の新しい資本主義実現会議(議長・石破茂首相)は14日、中小企業・小規模事業者の賃金向上に関する施策パッケージをまとめた。価格転嫁の取り組みや、建設業など12業種の「省力化投資促進プラン」などで構成。低入札価格が次年度の予定価格の検討ベースとなるのを「厳格に禁止」することや、状況によって国などへの最低制限価格制度の導入を検討することを盛り込んだ。建設業は労働生産性の目標を2029年度までに24年度実質値比で「9%向上」と設定した。=2面に関連記事
 「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の施策パッケージをまとめた。6月に同会議が行う実行計画の改定に反映させる。施策パッケージには、「2%の持続的・安定的な物価上昇の下で、物価上昇を1%程度上回る賃金上昇」を社会通念として定着させる方針を初めて示した。国などと地方自治体の官公需で価格転嫁を徹底するよう明記。省力化投資プランや、「官公需における価格転嫁のための施策パッケージ」などを盛り込んだ。
 同施策パッケージでは、価格転嫁のための予算を国などと自治体の双方で確保し、契約後も物価上昇や最低賃金の上昇に適切に対応するとした。指定管理者制度の委託料にも上昇分を反映し、土地改良工事は受益者負担に配慮するとした。
 国などの低入札価格調査制度は「(受注側目線では)機能していない」と指摘し、予定価格の60%未満の極めて低い入札率は「原則的に失格とする」と明記。運用を改めても改善されない場合は、最低制限価格制度の導入を含めた抜本的改革を検討すると明記した。低入札価格調査制度の設定基準について、各種法令を順守できる率を業種ごとに検証することも盛り込んだ。
 自治体に対しては、任意としながらも特別な理由がない限りは工事以外でも最低制限価格制度の運用を徹底するとした。同制度と低入札価格調査制度の導入状況を可視化し、最低制限価格制度の設定について、統一基準を作成するとした。
 官公需は、新技術の活用で工期を短縮するような価格以外の要素を評価する取り組みを徹底。緊急対応の地域要件の設定も進める。公共工事設計労務単価を有資格者に応じて適切に設定し、改正建設業法に基づく「労務費の基準」は交通誘導警備員を含めて幅広い職種での作成を検討するとした。