国土交通省は直轄工事で総合評価方式の新タイプ「技術提案評価型SI型(エスイチ型)」の試行を開始する。地方整備局などに試行の実施要領を14日付で通知した。SI型を採用する際の考え方や流れを明示し、発注者に適切に判断してもらう。比較的軽微な設計変更や新技術の活用を通じ、品質や環境、安全性などの向上が期待できる提案の採用を促す。国交省全体の方針として、まずは山岳トンネルの省人化施工で先行的な試行に乗り出す。
国交省は試行を通じコストがかかったとしても高い効果を発揮する発展的な民間提案を促していく考えだ。SI型では入札価格とは別枠で適切に費用計上することを前提とした「技術向上提案」を新たに求める。設計変更を伴う提案を認めておらず、提案部分の実施費用を含めて予定価格の範囲内という制約があるS型の限界を突破する。
技術向上提案のテーマは、通常の技術提案テーマとは別に一つ設定する。実施要領では想定されるテーマをいくつか例示。高コストが障害になり現行の調達制度では採用が難しい省人化・無人化や脱炭素に関する技術・機材・工法などを挙げる。施工者のノウハウを生かした交通事故防止や作業員の危険防止など安全性の高い工法の採用、点検困難箇所への維持管理性の高い仕様の採用にも生かす。
評価点はS型で技術提案に配分されている点数の一部とし、技術提案全体の配点の2分の1から3分の1のウエートで設定。自社開発品などを除き、資材を置き換えるだけの提案は評価しない。競争参加者には提案実施に要する概算費用の明示を求める一方、入札はその費用を含めず当初仕様で行う。S型よりも提案の作成期間を確保する観点で、入札説明書の交付から競争参加資格確認申請書の提出までの期間は4~8週間程度と長めに設定する。
概算費用には事前の調査・測量・設計や施工中の品質管理・出来形管理費用も含むこととし、当面は予定価格の5%を超過しない範囲で提案可能とする。採用決定後は受注者から提案部分の見積もりを徴収し、協議を経て増額変更する。