熊谷組ら/鋼製支保工自動建込技術を国内初適用、山岳トンネル切羽作業無人化が前進

2025年7月3日 技術・商品 [3面]

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 熊谷組らはイタリアMACCAFERRI社が開発した「鋼製支保工の自動建込技術」の試験施工を国内で初めて実施し、有効性を確認した。山岳トンネル工事現場で切羽作業の無人化や遠隔化、機械化を推進する取り組みの一環。試験施工で作業員が切羽に立ち入ることなく、既存の機械を用いて鋼製支保工の建て込みができたことを確認。これにより実トンネル現場への本格導入を目指す。機械構成や施工手順を最適化し、作業の省力化や安全性のさらなる向上を図る。
 試験施工は、岡三リビック(東京都港区、小川勝利社長)、伊藤忠丸紅住商テクノスチール(東京都千代田区、田中康博社長)と共同で実施した。
 鋼製支保工の自動建て込み技術は、世界各国に土木・環境工学ソリューションを提供するMACCAFERRI社が開発した。ヒンジ機構により折り畳み可能な上下半一体型の鋼製支保工とインバートストラットで構成する。専用の機械を用いることで、作業員が切羽近傍に立ち入ることなく建て込み作業を完了できる。既設の鋼製支保工との接続も機械的に設置可能な機構となる。高さ調整機構によって鋼製支保工を設計位置に正確に設置できる。
 実証試験は同技術を活用し、既存トンネルの切羽後方部でエレクタ付き吹き付け機によって展開。上・下半支保工からインバートストラットまで一連の鋼製支保工の建て込み作業を行い、既存の機械との互換性や施工性を検証した。
 山岳トンネル工事は機械化が進んでいるものの、従来の切羽付近での支保工設置作業では位置合わせや締結作業、金網設置などで作業員の坑内立ち入りが不可欠だった。安全確保の観点から作業プロセスの抜本見直しが求められていた。国内初適用となる今回の試験施工で鋼製支保工の自動建て込み技術が有効であることを確認し、山岳トンネル切羽作業の無人化が前進したとみている。