日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は設備工事の資機材価格や工事費の上昇を発注者に正しく伝えるパンフレット「設備工事費上昇等の現状について」を2025年春版として更新した。24年秋版の作成時と比べ、設備工事費の引き上げ幅がさらに広がっており最新情報を盛り込んだ。経済調査会が建築・設備工事を対象に実施した「労務需給調査」と「施工費変動状況調査」の結果も初めて掲載した。
パンフレットは23年10月に初弾を作成。半期ごとに更新している。足元の事業環境や汎用(はんよう)品をベースに、調査機関の数値と会員企業が施工する大型建築案件での設備工事費の上昇率が大きく乖離(かいり)している現状などを説明している。
25年春版を見ると大規模建築物を対象にした各種(空調機類、ポンプ類、自動制御、盤類)設備工事費の上昇率(20年12月比)が大幅に上がった。空調機類は81%(24年秋版比16ポイント上昇)、ポンプ類は77%(12ポイント上昇)、盤類は83%(11ポイント上昇)、自動制御は82%(11ポイント上昇)となった。
納期や着工の期日が読めない設備工事の状況も掲載。空調設備は空調機や特殊仕様のファン類で、衛生設備は特殊仕様のポンプで納期が長期化している。自動制御設備工事、消火設備工事は全国的に需給バランスが崩れている。特注エレベーターは15人乗り以上が原則26年度以降、超高層建築物用が原則30年度以降の着工など現状を解説している。
経済調査会は全国11都市(札幌、仙台、東京、新潟、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、那覇)を対象に「労務需給」「施工費変動」の調査を行い、公表している。
今回掲載した建築・設備工事の労務需給調査では、設備工事関連の工事が逼迫(ひっぱく)している現状を示した。施工費変動調査では配管やダクト設備、保温、電気設備の施工費が変動理由を掲載。いずれも労務費や材料費が主な理由に挙がり、今後上昇するとの見方が強いことを解説している。