職人育成校の利根沼田テクノアカデミー(桑原敏彦校長)と群馬県沼田市は21日、災害時の木造応急仮設住宅整備などに関する災害協定を締結した。沼田地域の建設会社や不動産会社などが沼田産の材料を使った住宅を提供する。同校と市は、産業の担い手育成や移住・定住の取り組みを進めている。同校は協定を機に、市のネットワークを生かし、地域外からの人材の受け入れを進める。災害への備えを地域の担い手の確保・育成に生かす取り組みとして注目されそうだ。
「災害発生時における木造の応急仮設住宅等の材料供給、建築等に関する協定」を結んだ。職人育成校と地方自治体の災害協定は初めて。災害救助法に基づく応急仮設住宅と、その期間を終えた後の恒久的仮設住宅の整備が対象。同校は建築場所や規模、期日といった市の要請に応じる。29者が構成協力事業者となる。協定には住宅建築で沼田市産材を使用すると明記。市は請求に対する費用を支払う。
同日の協定締結式で星野稔沼田市長は「材料の供給、建築を迅速に行ってもらえる。これ以上ない相手先、パートナーになる」と話した。大規模災害の備えとして、東京23区の一部から300人超の避難受け入れの要請があり、「受け入れの体制、市民の安全を守るためにも協定はとても価値がある」とした。首都直下地震などを想定し「自治体の責任をしっかり果たせる。受け入れの可能性を広げられる」とも述べた。
同校の関真一代表理事は「職人の育成、なり手探しでお世話になっている地域に恩を返せる」と意欲を示した。
住宅整備は、被災者のつながりも意識した熊本県の災害公営住宅整備をモデルに考えている。同校は建設業振興基金の協力を得て、東京都の高校生などと建設分野の2拠点教育に取り組んでいる。沼田市と他自治体とのつながりから、学生などを職業体験などに招き、建設業に親しみをもってもらう活動にも力を入れる。職人の確保、地域への移住・定住にも生かしたい考えだ。