大阪府/建設業の担い手確保へ支援策強化、業界団体に協力呼び掛け

2025年5月22日 行政・団体 [8面]

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 大阪府が建設業の担い手確保に向けた取り組みを後押しするため、企業・求職者への支援策を強化している。「新規事業展開テイクオフ支援事業」では支援メニューを拡充し、19日に募集要項を府ホームページで公表。加えて、職種の魅力を伝える「職業のショーケース」など新たな取り組みも展開する。業界団体に協力を呼び掛けており、7月からは先端技術を活用した建設現場の見学会も実施する。
 新規事業展開テイクオフ支援事業では、2025年度から、生産性向上に資する設備投資(遠隔臨場のためのウエアラブルカメラ導入など)を補助対象に追加。補助上限額は従来の100万円に人手不足関連経費分として最大50万円を上乗せし、1件当たり最大150万円に引き上げた。補助対象企業数も24年度の300社から600社に倍増させた。申請は26日から1カ月間受け付け、伴走支援機関とも連携し、事業実現を後押しする。申請には府指定セミナーの受講が必要。
 人材育成支援では新たに「大阪府リスキリング支援補助金」を創設。10時間未満の外部研修を活用し従業員の育成を行った府内の中小企業が、建設・運輸・デジタル技術関係の研修を従業員に受講させた場合、受講費の75%を補助する。補助対象は800社。受講者数8000人程度を目指す。申請期限は26年3月9日。
 個人向けには、雇用保険未加入者などを対象とした「大阪府スキルアップ支援金」を展開中。指定講座の受講費が対象で、25年度からデジタル関連資格の補助率を75%(24年度50%)にアップ。対象講座は国の教育訓練給付金制度と同一で、26年2月までの講座が補助対象となる。目標人数は約800人。
 求職者の業界理解を目的とした「職業のショーケース」では、職種ごとの労働条件や業務内容をデータベース化。若手や女性、異業種からの転職者へのインタビュー動画も制作しウェブサイトなどで発信する。さらに職業体験の受け皿として、企業訪問を通年受け入れ可能とする仕組みの構築や先端技術を活用した建設現場の見学会などを行う。
 実際に受け入れ先となる企業や現場の確保に向けて府の担当者は「府域のインフラ整備でも人手不足が深刻になっており、業界全体で担い手確保に取り組む必要がある」とし、業界団体を通じて協力を強く呼び掛けている。