首都圏の民間鉄道大手8社が毎年公表している設備投資計画の2025年度分が22日出そろった。全社が増額を計画。総額は3140億円で、24年度比17・3%の増となった。安全・安心な輸送の実現に向け、各社が連続立体交差(連立)事業や構造物の耐震化などに資金を配分。老朽化対策やバリアフリー化として、駅舎改良を予定する企業もあった。ICTを活用した維持管理の高度化を目指す企業も目立った。
計画を公表したのは▽東急電鉄▽小田急電鉄▽東武鉄道▽京王電鉄▽西武鉄道▽京浜急行電鉄(京急)▽京成電鉄▽相鉄グループ-の8社。最高は東武鉄道の498億円で、東急電鉄(482億円)、小田急電鉄(436億円)、京王電鉄(434億円)、西武鉄道(424億円)が続いた。
連立事業は東急電鉄、小田急電鉄を除く6社が掲げた。東武鉄道はとうきょうスカイツリー、春日部、大山各駅付近で推進。京王電鉄は笹塚、仙川両駅間を高架化する。西武鉄道は東村山駅付近で事業を予定する。
全社が構造物の耐震化や防災対策を重点事項に挙げた。小田急電鉄は世田谷代田~登戸駅と海老名~厚木駅、相模大野~東林間駅の3区間で渡線橋を耐震化する。京成電鉄は佐倉駅やみどり台駅で、ホーム上屋に耐震補強を施す。
東急電鉄は駅舎改良に力を入れる。田園都市線地下区間5駅(池尻大橋、三軒茶屋、駒沢大学、桜新町、用賀各駅)を対象とした連続リニューアルの一環。25年度は桜新町駅で、内装の張り替えや空調設備の増強・新設に着手する。相鉄グループは海老名駅の改築を推進。25年度は建物の内外装工事などを予定し、26年度末の完成を目指す。
各社が状態基準保全(CBM)への転換を急いでいる。車両などに装置を取り付けて設備の状態を常時監視し、予防保全の実現につなげる。小田急電鉄は25年度、本運用を見据えた検証に注力。東急電鉄は対象を転てつ機や軌道から、駅設備や変電所、配電所まで広げる。