東武鉄道東上本線上板橋駅(東京都板橋区)周辺でまちづくりの機運が高まっている。南口駅前では再開発が進むほか、同駅が準急停車駅となり利便性が高まるなどまちの大きな転換期を迎えている。板橋区は周辺地区の将来を見据え「上板南口まちづくりビジョン」を検討している。
区は1月にビジョン案を公表。目指す都市像を「人々が混ざり合い、つながる緑豊かなまち」に設定した。駅前からまちへ連続した緑の空間やにぎわいを創出する。緑環境と歩行空間、官民境界、通行・滞留空間など、近代都市計画制度により分断されてきたものを一体的につなぎ合わせ再整備する。
区は再開発事業を契機に、約4000平方メートル規模の駅前広場や駅から川越街道まで210メートルほど伸びる区画街路8号線を新設する。駅前広場は日常的な憩いの機能に加え、イベント時や災害時にも活用できる開かれた公共空間とする。
南口駅前では東地区と西地区で再開発事業が進行している。先行する東地区では、上板橋駅南口駅前東地区第一種市街地再開発組合が区域面積約1・7ヘクタールを東街区、中街区、南街区の三つに区分し、3棟総延べ約5万平方メートルの再開発ビルを建設する。
北口駅前でもまちづくりの検討が活発化している。2024年3月、地権者らによって「上板橋駅北口周辺地区まちづくり協議会」が設立された。24年度は計6回協議会を開催し、まちの将来像や目標、まちづくり方針などを検討。25年3月、まちづくりマスタープランの基本構想案を公表した。
基本構想案では▽円滑で安全な道路・交通環境が確保されたまち▽災害に強く、治安の良い、明るいまち▽商業が充実し、多世代が交流する活気あふれるまち▽緑があふれ、だれもが住み続けたくなるまち-の四つの目標を定めた。