道建協/中期ビジョン2025策定、メンテ時代の戦略的管理など10項目

2025年5月27日 行政・団体 [1面]

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 日本道路建設業協会(道建協、西田義則会長)は、2035年を見据えた「中期ビジョン2025」を策定した。担い手確保や生産性向上のほか、戦略的な道路管理への転換や舗装事業の海外進出の後押しなどに取り組む。前回の「道路建設業中期ビジョン2015」をフォローしつつ戦略と施策を明示した。持続可能な未来を見据えた「人とクルマ、地球環境に優しい道づくり」を進める。
 中期ビジョンでは▽道路建設業の使命▽事業の継続性と安定した企業経営▽メンテナンス時代の戦略的道路管理▽担い手の確保・育成▽生産性の向上▽事業領域の拡大▽道路工事の安全対策▽環境を重視した人に優しい社会の実現▽災害への対応力と地域防災力の強化▽舗装事業の海外進出-の10項目を盛り込んだ。
 建設から50年以上経過するインフラの割合が加速度的に増加する中、補修・更新事業は計画的に進める必要があり、14年の道路法改正で橋梁やトンネルなどの道路構造物に対して5年に1度の定期点検が義務付けられている。
 メンテナンス時代の戦略的道路管理では点検や診断、措置、記録といったメンテナンスサイクルを構築し、予防保全型維持管理への転換により維持更新費を抑制し、人材不足を補うためメンテナンスの生産性向上を図る。効率的にマネジメントする道路管理基準を産官学の連携や協力により検討を進める。
 舗装事業の海外進出に向けては、新興国のインフラ整備事業への参画を進め、海外事業の支援活動を強化する。海外の道路建設に関わる情報提供を強化し、管理マニュアルの作成や研修会などを実施する。現地の建設環境情報やトラブル事例などを収集し、必要とする企業へ提供する。海外事業の展開に当たってグローバルな人材の育成は重要だ。外部機関を利用して国際契約に精通したプロジェクトリーダーなどの養成を積極的に行うことや、産官学が連携し、人材育成制度を確立する。
 労働生産性の向上にも言及。道建協は「今後、技能者の高齢化が一層進むことから、65歳以上を中心に離職率が高まり、技能者数全体の減少率は過去5年間の5%を上回る可能性が高い」と分析。週休2日推進や働き方改革の取り組みを加速させるため、「現場の省力化・効率化と施工の標準化の推進」「新技術・新工法の開発促進」「施工体制・請負構造の改善」の3項目を中心に施策を遂行し、生産性向上を目指す。