成田空港会社/更なる機能強化事業の滑走路新増設が本格始動/着工式典で鍬入れ

2025年5月27日 工事・計画 [5面]

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 成田空港の発着能力拡大に向けた「更なる機能強化」事業が大きな節目を迎えた。成田空港会社は、B滑走路延伸とC滑走路新設の工事に本格着手した。B滑走路は本体造成工事、C滑走路は地盤改良工事から取りかかる。2029年3月の供用開始を目指す。25日、千葉県成田市の同社本社で着工式典を開いた。田村明比古社長をはじめ関係者約70人が出席し、鍬入れを行って工事の無事を祈願した。
 同空港の滑走路は現在、A滑走路(延長4000メートル)とB滑走路(2500メートル)の2本で運用している。「更なる機能強化」事業では、B滑走路を北側に1000メートル延伸して延長3500メートル、幅員60メートルに拡幅する。空港南側には新たに3本目となるC滑走路(3500メートル、幅員45メートル)を整備。年間発着容量を30万回から50万回に引き上げる。
 必要な用地面積約1100ヘクタールのうち8割超を確保したことから、工事を本格化する。主な関連工事と施工者は▽B滑走路延伸部造成・舗装工事=大成建設・日本国土開発JV▽C滑走路北側造成工事=西松建設・大林組・東亜建設工業JV▽C滑走路南側造成工事(その1)=大林組・熊谷組・鴻池組・飛島建設・青木あすなろ建設JV。
 式典では、田村社長が「地域と空港の将来にわたる持続的発展に不可欠な事業だ。先人の努力の積み重ねで再構築されてきた地域との信頼関係が基盤となる」と強調。「鍬入れは工事着手だけでなく、未来を切り開くものと確信している」と述べた。来賓の熊谷俊人千葉県知事は「国や空港会社、周辺市町をはじめとする関係機関との緊密な連携のもと、できる限りの対応を進めていく」と話した。
 古川康国土交通副大臣は「用地確保の加速化は、空港の歴史と経緯を踏まえて丁寧にを進めていく。地域と密に連携して国際競争力の強化に取り組む」と意欲を示した。続いて、田村社長や熊谷知事、古川副大臣ら関係者11人が鍬入れの儀を執り行った=写真。