中国地方整備局が山口県下松市の徳山下松港下松地区に整備を進めていた公共桟橋が完成し、25日に現地で記念式典が開かれた。国や山口県が整備を進める国際物流ターミナル整備事業の一環で、水深19メートルは公共桟橋として日本一の深さとなる。ケープサイズ(最大積載量12万~20万トン)の大型船が入港でき、燃料輸送コストの削減などが期待される。
徳山下松港は石炭輸送の拠点港。2011年5月に国際バルク戦略港湾に選定され、16年度に船舶の大型化に対応した港湾施設の整備を始めた。桟橋は全長390メートルで、鋼管杭に本体部をかぶせる「ジャケット工法」で施工した。大型のばら積み船が桟橋に着岸できる。
総延長約1キロのベルトコンベヤーや石炭を陸揚げする揚炭機は港湾運営会社「やまぐち港湾運営」、臨港道路(延長225メートル)や6ヘクタールのふ頭用地は県が整備した。桟橋を含めて338億円を投じた。
同港の徳山、新南陽地区では岸壁の延伸や航路・泊地の整備を進めており、28年度の完成を目指す。下松地区を含む総事業費は544億円を見込む。
式典には国や県、市の関係者、国会議員、工事関係者ら約300人が出席。式辞で村岡嗣政知事は「石炭の一括大量輸送を一層促進し、安価かつ安定的なエネルギー供給に大きく寄与する。企業間連携による共同輸送の取り組みを加速化することで、コンビナート企業のさらなる国際競争力の強化につなげていく」と述べた。
下松市の國井益雄市長は「港湾の国際競争力の強化と地域のさらなる発展につながるよう尽力する」と話し、国土交通省の稲田雅裕港湾局長は「共同輸送を行うことで輸送効率が格段に向上する。二酸化炭素(CO2)を削減できる国際バルク戦略港湾政策をしっかり進めないといけない」と決意を新たにした。
最後に記念セレモニーが行われ、テープカットで完成を祝った。