複数掛け金制度8割超が前向き、現在の退職金水準「不十分」/建退共調査

2025年6月2日 行政・団体 [1面]

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 勤労者退職金共済機構(勤退共、梅森徹理事長)の建設業退職金共済事業本部(建退共本部、大澤一夫本部長)が行った建退共制度の調査で、検討中の複数掛け金の利用に元請・下請とも8割以上が前向きなことが分かった。現在の退職金水準は元請の過半数が少ないと感じていた。退職金は現状の2倍が望ましいとする回答が半数を占め、1000万円以上が3割に上った。
 建退共本部は、建設技能者の技能レベルなどに応じた処遇改善の取り組みとして、建退共制度検討会議で、現行の掛け金日額(320円)に上乗せできる複数掛け金の導入を議論している。調査は共済契約者の意見や実情などを把握する目的で5月2~23日に実施。対象は元請事業者、下請事業者それぞれ1000社と任意組合100社。607社から有効回答を得た。
 元請の回答によると、現在の退職金水準は「不十分だと思う」が47・9%で最も多かった。「かなり不十分だと思う」が8・3%で、過半数が少ないと感じている。望ましい退職金額は「500万円程度」が27・3%で最多。次いで「1000万円程度」(20・6%)、「600万円程度」(15・6%)だった。
 複数掛け金の導入について、元請の回答は「利用してみたい」が9・2%、「将来的に利用することを検討する」が73%となり8割が前向きの回答だった。下請も8割が前向きで、「元請事業主が負担してくれるのであれば利用してみたいと思う」(44・0%)との回答が最多だった。
 複数掛け金の導入は「技能者ごとに選択できるのがよい」と回答した元請の割合は74・5%に上った。工事ごと、繁忙期・季節ごとの選択を求める意見も多かった。下請の従業員に対する掛け金負担可能額は800円程度以下という回答が全体の9割を占めたものの、1000円超という回答もあった。
 使用したい掛け金日額の種類は2種類と回答した事業所が最も多く、次が4種類。金額を上乗せする場合の要素は、「技能」(71・1%)、「勤続年数」(66%)、「資格」(46%)の順だった。
 建退共本部は調査結果を踏まえ複数掛け金の導入に向けた議論を進める。6月に開く第3回建退共制度検討会議で中間取りまとめをし、今秋にも最終取りまとめを行う。