阪急阪神不/芝田1丁目計画で方向性、うめきたの活気誘導が鍵

2025年6月3日 行政・団体 [10面]

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 阪急阪神不動産は3年前に発表した都市構想「梅田ビジョン」の3大プロジェクトのうち、阪急ターミナルビルなどを建て替える「芝田1丁目計画(大阪市北区)」の方向性を改めて示した。5月30日に大阪市内で初めて開いた報道機関向けの懇話会で、同社執行役員都市マネジメント事業部長の高岸実良氏が「グラングリーン大阪のにぎわいをさらに東へと誘導する動線の形成が重要になる」と述べ、うめきたエリアの回遊性や国際競争力の向上を見据えた。
 芝田1丁目計画は阪急ターミナルビルと大阪新阪急ホテルの建て替え、阪急三番街の全面改修などを含む、約3ヘクタールに及ぶ再開発構想。阪急電車のターミナル駅としての機能を向上し、梅田の玄関口にふさわしい複合拠点形成を目指す。
 高岸氏は芝田1丁目について梅田エリア北側の回遊性を高める拠点と捉えつつ「グラングリーンからの人の流れを“芝1”で受け止め、さらに東側へと導く動線の構築が鍵になる」と言及。その上で「物理的、機能的なつながり方をどう設計するかが最も時間を要する部分」とも語った。
 芝1の東側にはレトロな街並みと個性的な店舗が共存し若者にも人気の中崎町などがあり、にぎわいのさらなる広がりが期待される。政府が掲げる2030年にインバウンド数6000万人の達成に向けても、関西の特に大阪・梅田エリアには受け皿としてのハブ機能強化が求められる。
 梅田ビジョンは阪急阪神ホールディングス(HD)グループが22年に策定したまちづくり戦略。六つの基本方針の下、「梅田1丁目1番地計画(大阪梅田ツインタワーズ・サウス)」「うめきた2期地区開発プロジェクト」「芝田1丁目計画」の三つの主要プロジェクトを位置付ける。梅田1丁目1番地とうめきた2期は既に完成または供用を開始しており、芝1は最後に残されたプロジェクトとして注目される。
 開発スケジュールは未定だが「既存施設を使いながら進める難しさもあり、技術的課題が多い」とし、引き続き丁寧な検討を重ねていく構えだ。
 初会合では梅田周辺における国際会議の誘致を軸とした「エリアMICE」戦略も紹介され、今後もテーマを絞って継続開催するとした。