環境省は3日、大規模災害での災害廃棄物処理に関する具体的な検討を始めた。有識者で構成する災害廃棄物対策推進検討会の傘下に技術・システム、地域間協調、公費解体の三つのワーキンググループ(WG)を設置。処理のシナリオ、解体工事の円滑化・適正化、地方自治体の役割、損壊家屋の所有権などについて検討し、本年度末に成果をまとめる。被災を想定した備えに反映する。2026年度以降も議論の継続を視野に入れている。
同日都内で同検討会の本年度初会合を開き、3WGの検討項目などを確認した。技術・システムWG、地域間協調WG、公費解体に係る損壊家屋等の所有権等に関するWGで具体的に議論していく。同検討会は巨大地震や集中豪雨への備えに必要となる災害廃棄物対策の方向性を3月にまとめた。本年度は具体化に向け、取り組みや制度的な対応を議論する。
技術・システムWGは学識者、巨大地震の防災対策推進地域指定自治体、民間事業者団体で構成。南海トラフ地震などで発生する災害廃棄物の広域処理量をはじめ被災後のシナリオ、公費解体の事務、申請から工事までの円滑化・適正化、コンクリート殻の再生利用、デジタル技術の活用などを検討する。コンクリート殻は、ほかの品目とともに再生利用のための知見を整理する。デジタル技術は発生量の推計、搬入・搬出管理などへの活用を想定している。
学識者、被災経験のある自治体、民間事業者団体で構成するのが地域間協調WG。検討事項は支援・受援体制、関係者の役割、処理計画・支援協定の充実、初動対応、処理困難物の適正処理など。事前の備えと発災時の標準的な対応や、被害や被災自治体に応じた国・都道府県・市町村の役割などを議論する。処理困難物は処理についての実態調査を行う。
公費解体のWGは学識者などが参加する予定。工事着手の遅れなどが発生した能登半島地震の被災地の公費解体を教訓に、処理を円滑にするために必要な措置などを検討していく。