北海道は3日、日本海沿岸で大規模地震・津波が発生した際の被害想定を公表した。日本海沿岸の33市町村を対象に、個別地域ごとの実態を反映し、発生時期や時間帯を考慮して建物被害や人的被害などを算出。建物全壊数は最大1万6000棟、死者は最大約7500人に上ると推計した。市町村別では稚内市が全壊数9600棟、死者4000人で最も被害が大きくなると予想される。
今回の被害想定は防災対策の必要性を道民に周知するとともに、道内市町村が防災対策を立案し施策を推進するための基礎資料とすることを目的に公表した。
被害想定は、日本海沿岸の33市町村を対象とし、北海道防災会議地震火山対策部会地震専門委員会の地震防災対策における減災目標設定に関するワーキンググループが検討した15の断層モデルごとに発生時期や時間帯に区分して推計。早期避難率を70%と20%のケースでそれぞれ死者数や建物被害などを算出し、市町村別に整理した。被害拡大の要因となる最大津波高は、せたな町が26・9メートル、神恵内村が26・6メートル、松前町が26・3メートルなどで、礼文町、積丹町、島牧村、奥尻町も20メートル超となっている。
建物被害が最大となるのは、稚内市周辺の北海道北西沖の断層(F01)で冬に発生した場合で、稚内市などを中心に約1万6000棟が全壊すると推計。死者数は北海道南西沖から青森県西方沖にある断層(P17)で冬・深夜に発生した場合に最大7500人が見込まれる。
市町村別の最大全壊数は、稚内市の9600棟が突出して多く、松前町が1800棟、せたな町と天塩町が1500棟、石狩市が1400棟、礼文町、利尻町、江差町が1000棟など。津波による最大死者数は、早期避難率20%の場合で稚内市の4000人が最多で、江差町と松前町が2400人、礼文町と島牧村、せたな町、乙部町、奥尻町で1000人を超える。70%の場合は稚内市と江差町が1800人、奥尻町が1000人に上る。
インフラ・ライフラインの最大被害は、道路が約460カ所、橋梁が約120カ所、岸壁が約110カ所、係留施設が約250カ所、防波堤が約20メートルなど。上水道は10万9000人、下水道は約13万8000人、電力は約5500軒が利用困難になると推計する。
人的被害の主要因となる津波は、13市町村が5分以内に到達すると想定される。道では今後、耐浪性のある公共施設や民間施設を津波避難ビルとして指定するとともに、近隣の高台へ通じる避難路や避難階段の整備を着実に進めていくとしている。