国交省/直轄プロジェクト単位でデータ連携基盤の検討本格化、受注者ニーズも反映

2025年6月6日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、直轄事業の個別のプロジェクト単位で工事・業務の受注者や用地交渉者など関係者とデータを共有するCDE(共通データ環境)の具体化に本格着手した。発注者のプロジェクトマネジメントの効率化・高度化を目的としたCDEを「事業監理データ連携基盤」と呼称し、学識者や関係業界団体が参加する検討会を立ち上げた。複数の受注者が手掛けた過年度からの工事・業務成果や図面の修正履歴などが一元的なプラットフォームで共有され、受注者側がデータを扱う際の業務効率化も期待される。
 4日に「事業監理データ連携基盤検討会」の初会合を東京都内で開いた=写真。建設業団体に加え、測量・地質調査・建設コンサルタントの関係団体、BIM/CIMや施工管理ソフト、ASP(情報共有システム)を提供する事業者団体などが参加。蓄積すべきデータの種類や保管・共有方法などを検討会で議論する。受注者側で持つシステムとの連携方法も論点の一つ。データを活用し仕事の効率化につなげるアプリの内容も検討し、民間に開発を促す。
 国交省が持つデータ保管・共有のシステムとして既存の「電子納品保管管理システム」があり、新しいCDEの在り方を検討する過程で役割分担を整理する。現状は受発注者間のやりとりの過程で異なるデータが散在し、図面の修正履歴や事業全体の整合が取れた図面が把握しにくいといった課題がある。既存システムでは納品されないデータの扱い方などを、データの利用価値や受発注者それぞれの使い勝手を踏まえ見極めていく必要がありそうだ。
 CDEが散逸したデータの収集に役立つことで受注者側のメリットも生まれると想定する。関係業界団体に近く意見照会を依頼しニーズなどを吸い上げる。検討成果をまとめる時期は明確に示しておらず、論点ごとに作業部会を設置し詳細を詰める。4日の会合ではi-Constructionモデル事務所によるデータ共有の先行事例も紹介。各事務所でCDE活用を試行し実装への課題を抽出する。