関東整備局/快適トイレの質向上を支援、現場の裁量でグレードを選択

2025年6月6日 行政・団体 [5面]

文字サイズ

 関東地方整備局が、建設現場で普及を進めている「快適トイレ」の質向上を支援する。トイレの設置経費などに充てる現場環境改善費の運用方法を見直し、4月以降の発注工事に適用している。これまで設置にかけられるコストが一律だったが、これからは受発注者協議の下、現場の裁量に応じてグレードの高いトイレを選択できるようになる。
 環境改善費は共通仮設費を構成する経費の一部で建設現場のイメージアップを目的に受注者が受注金額を積算する過程で計上している。費用の算定方法は、直接工事費に現場環境改善比率を乗じて計算している。
 4月以前は受注者に▽緑化・花壇▽ライトアップ施設▽見学路・椅子の設置▽昇降設備の充実▽環境負荷の低減-などから5項目を選択するよう求めていた。受注者は環境改善費の範囲内で選択した各項目に費用を割り当てていた。
 建設業で喫緊の課題となっている担い手確保・育成には現場の環境改善も重要な要素。このため、関東整備局は現場環境改善費で選択する項目を必ずしも5項目とせず、選択しなかった項目の余剰費を快適トイレの質向上に充当できるようにした。現場環境改善費の運用が柔軟になったため、以前から計上されている快適トイレ積算上限額と余剰費の合算額を活用できる。
 例えば工期12カ月、直接工事費1億円(環境改善費は約230万円)の工事であれば月の現場環境改善費は約19万円となる。これに快適トイレの積算上限額(月額5・1万円)などを加えると、最大で約25・1万円快適トイレに充当できる計算になる。
 快適トイレは、2016年10月に国土交通省が定義した標準仕様17項目を備えた仮設トイレを指す。標準仕様では、洋式便座や水洗機能のほかに容易に開かない施錠機能(二重ロックなど)の採用を求めている。
 建設現場で働く女性の増加に伴い、身だしなみを一通り整えられる個室タイプのトイレや温水洗浄便座の付いたトイレを採用する現場も少なくない。メーカー各社もグレードの高い快適トイレの開発・販売に力を入れている。