国交省/テックフォースに民間人材活用、体制強化へ新制度・現地での活動範囲など拡大

2025年6月9日 行政・団体 [2面]

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 国土交通省は6日、災害時の緊急対応に当たる緊急災害対策派遣隊(テックフォース)の体制を大幅に強化するため、民間人材を活用する新制度を創設すると発表した。専門知識を持つ民間企業の人材を任命する「テックフォース予備隊員」や、災害時に協力する民間企業を位置付ける「テックフォースパートナー」などを設ける。また防災の専門家を「テックフォースアドバイザー」として委嘱し、高度な技術的判断を迅速化する。都道府県との連携も強化する。=1面参照
 4日に公布、一部施行された改正災害対策基本法に基づく新制度。テックフォースは2008年の創設以来、規模を拡充しながらさまざまな被災地で活動してきた。ただ気候変動を受け激甚・頻発化する水害、切迫する首都直下地震や南海トラフ地震など巨大災害に対応するため、防災対応力の引き上げが求められている。国交省では民間の力を取り込んだテックフォース応援態勢のさらなる強化に踏み切る。
 テックフォース予備隊員は、専門的な知識を持つ民間企業の人材をあらかじめ募集、登録しておき、災害時に非常勤の国家公務員として一時雇用し現地に派遣する。人員の確保と体制強化に役立てる狙いだ。テックフォースを編成する際に常勤の国交省職員と混成で班を構成し、現地に派遣することを想定する。
 テックフォースパートナーは、広域災害の際もテックフォースと一体的に現地で活動を展開してもらう。従来の災害協定は所管エリア外での活動や自治体支援を想定していなかった。テックフォースパートナーは災害協定よりもさらに役割や活動範囲を拡大し、広域災害や被災自治体の支援でも活躍してもらう。
 新たに「テックフォースアドバイザー制度」も創設する。有識者に加わってもらい、早期復旧に向けた技術的助言を求める。地域の学識者との連携強化により、高度技術指導班の活用強化や円滑化につながると期待される。
 都道府県とは、土木インフラの復旧に関する被災状況調査などで連携を強化していく。平時から市町村が都道府県の支援を受けることを前提とした授援計画を策定するとともに、都道府県の土木部局と連携して市町村の訓練や研修を共同で支援していく方針だ。