国土交通省は、建設分野に焦点を当てて外国人材の新たな在留資格「育成就労制度」の運用の方向性を議論する「建設分野の外国人材育成・確保あり方検討会」の初会合を東京都内で9日開いた=写真。育成就労で入国した外国人材が特定技能にステップアップし中長期的に安定したキャリアを形成できる環境を目指し、受け入れ企業には外国人材本人との共通理解に基づく「キャリア育成プラン」の作成を促す方針。職種ごとの特性を踏まえたプラン策定の手引を用意する方向で検討する。
育成就労は2027年4月に運用開始する。就労を通じた人材確保・育成を目的に、3年の育成期間で技能水準を特定技能1号相当に引き上げ、日本で中長期的なキャリアを築いてもらう。出入国在留管理庁と厚生労働省の有識者会議で既存の特定技能と一体的に産業分野別の運用方針を策定する議論が始まっている。
分野別運用方針の記載事項のうち、国交省は建設業所管省庁として特にキャリア形成に関する事項に重点を置き具体化する。育成就労から特定技能に至る中で目指すべきターゲットや求められる技能・知識と資格、そのために必要な研修・講習や育成体制などをまとめたプランの作成を受け入れ企業に促す。
プラン作成の参考として専門工事業団体などと連携し手引を用意する方向。必要な技能や資格に応じた職種ごとの手引を、いくつかの職種で先行する形で検討する。
検討会では育成就労制度への対応だけでなく、技術者人材の確保・定着など幅広い論点を提示。特定技能外国人が、主に技術者が対象の「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の在留資格に切り替えるなど、より発展的なキャリアパスが示される可能性もある。
初会合の冒頭あいさつした平田研不動産・建設経済局長は、育成就労制度の開始を契機に建設分野でキャリア形成と定着促進への環境整備を進めることの重要性を強調し「個々の受け入れ企業だけでなく業界全体、そして国にとって大きな課題であり、一体となり取り組む必要がある」と関係者に活発な議論を呼び掛けた。
議論の成果を11月にもまとめ、建設分野の運用方針の策定に生かす。