宮城県が県南部の名取、岩沼両市を流れる1級河川・名取川水系川内沢川に建設する「川内沢ダム」が8日に定礎式を迎えた。コンクリート打設量は全体の6割程度で、年末をめどに完了する予定だ。放流設備やダム制御設備、管理事務所の建設などを経て2026年に試験湛水に入る。施工は西松建設・奥田建設・グリーン企画建設JV。総事業費は182億円。工事の最盛期を前にダムの永久堅固と安泰を祈願し、礎石をダム本体に納めた。
定礎式は8日に名取市愛島笠島のダムサイトで開いた。国会議員や国土交通省、宮城県、施工関係者ら約100人が出席。村井嘉浩知事は「ダムの完成は治水安全度を高めるだけでなく観光振興などの弾みになり、さらなる地域の発展にも寄与する」と期待を込めた。施工者を代表した西松建設の細川雅一社長は「宮城県としては最後と言われる川内沢ダムの建設に関わることができ、とても光栄に思う。培ってきた経験と実績、創意工夫を生かし、立派なダムを完成させる」と決意表明した。
式典では工事関係者が礎石を搬入して堤体の中心点に据えた。村井知事の定礎宣言後、西村拓東北地方整備局長と高橋伸二宮城県議会長、山田司郎名取市長、長南良彦名取市議会議長が「鎮定の儀」でモルタルを礎石の周りに置いた。モルタルを鏝で流し固める「斎鏝の儀」は県議会議員ら、木づちで定石を打つ「斎槌の儀」は細川社長、奥田建設の奥田亮社長、グリーン企画建設の高橋正己代表取締役、小野雄司川内沢ダム建設JV所長が執り行った。
地元中学校に通う生徒ら8人がメモリアルストーンを据え置いた後、「埋納の儀」で礎石が堤体と一体になるようモルタルを敷き均した。定礎を記念した「くす玉開披式」では村井知事らが紐を引き、くす玉が開くと列席者からは大きな拍手が送られた。
川内沢ダムは洪水調節と流水の正常な機能の維持を目的に23年3月にダム本体工事に着手した。24年7月からダム本体のコンクリートを打設している。完成すると堤高は36・7メートル、堤頂長は140メートル。総貯水容量は179万立方メートルの重力式コンクリートダムになる。総打設量は約5万1000立方メートルで8日時点の進捗率は約59%。工期は27年末まで。小野所長は「高所での作業になるので転落災害などの防止を徹底する。ダム完成まで品質、安全、環境に配慮しながら施工する」と話した。