関東整備局ら/関東甲信の受発注者が意見交換、担い手確保へ関係機関に申し合わせ

2025年6月10日 行政・団体 [5面]

文字サイズ

 関東地方整備局と関東甲信の9都県5政令市、14の建設業団体は6日に「関東甲信地域における建設業の担い手の確保に関する意見交換会」の第2回会合を、さいたま市中央区の同局で開いた。適正な工期設定の促進と建設業界の魅力・やりがいの発信をテーマに議論。建設業が選ばれる産業となるよう、今後は受発注者が連携して関係機関に申し合わせを行う。
 意見交換には関東甲信ブロックの発注機関と日本建設業連合会(日建連)関東支部や各都県市の建設業協会、建設産業専門団体関東地区連合会ら幅広い層の関係者が出席。建設業にとって悲願となる週休2日の実現、魅力や意義(やりがい)の効果的なPR手法を意見交換の議題に据え関係者が課題などを共有した。
 冒頭、岩崎福久関東整備局長は申し合わせが「担い手確保の第一歩」と述べ、官民連携で一層の推進を呼び掛けた。国土交通省の廣瀬昌由技監も「他の地方整備局の模範になればいい」と期待した。
 意見交換では、建設業団体から週休2日の実施状況が報告された。公共発注機関の適正工期設定は「市町村で半分程度」(茨城県建設業協会)の状態が続いている。同じく民間発注工事でも実施率は低く、日建連関東支部の調査では2024年度上期の閉所率は建築が49%だった。
 中小建設業からは一部の公共建築で週休2日の確保が難しいとの声が寄せられた。特に「労務単価が上がっても施工単価は上がっていない」(東京都中小建設業協会)状況で、1日にできる工事量の見直しを求めていくと答えた。
 人材確保・育成の状況は、「文系学生を技術者として教育している」(埼玉県建設業協会)事例や高校・大学などに「協会の青年部が出向いて魅力を発信」(長野県建設業協会)する取り組みを報告。建設業の活躍ぶりを動画配信して仕事をイメージしやすくする工夫も見られ、各団体が人材確保に奔走している様子がうかがえた。
 意見交換を経て、出席者は市町村や民間発注者などの関係機関に申し合わせる事項を整理した。週休2日の推進は、9都県で構成する関東ブロック発注者協議会や都県単位で設置されている発注者協議会を通じて市町村長に協力を要請する。民間工事の場合は経済団体や補助金交付時を捉え働き掛ける。
 魅力発信については、建設事業推進連絡会議など産学官が連携して具体の取り組みを検討する場を設置して対応する。この一環で、栃木県では他に先駆けて「とちぎ建設業魅力向上連絡会議」を発足。インターンシップや仕事体験イベント「建FES GO!」などを開催し、担い手確保につなげているという。