海外建設協会(海建協、佐々木正人会長)がまとめた会員企業52社の2024年度海外建設受注実績は、前年度比12・6%増の2兆5808億円となった。23年度(2兆2929億円)を超えて2年連続で過去最高を更新した。アジアと北米がけん引。シンガポールの工場や台湾の商業施設、北米の大規模な上下水道の建設需要を取り込み、受注増につなげた。
受注実績の内訳は日本の企業本体(本邦法人)が67・8%増の6917億円、現地法人が0・4%増の1兆8891億円。
8地域別の受注実績は、多い順に▽アジア=1兆4263億円(前年度比39・1%増)▽北米=9161億円(16・3%増)▽東欧=951億円(38・9%減)▽大洋州=569億円(72・8%減)▽中南米=400億円(7・2%減)▽アフリカ=225億円(55・0%減)▽中東・北アフリカ=190億円(11・2%増)▽欧州=45億円(4・7%増)。
国・地域別では米国(8898億円)、シンガポール(4914億円)、台湾(2702億円)の順に高かった。インドネシアは1252億円(前年634億円)と大きく伸ばし、今回6位にバングラデシュがランクインした。アジアではシンガポールの工場や公益施設、台湾は商業ビルや地下鉄、発電所の工事があった。バングラデシュでは港湾、道路が多かった。北米は現地法人の工事が多く大規模な上下水道、土木、建築が積み上がった。
本邦工事は67・8%増で、アジアの大型工事が多いことが要因。一方、現地法人も0・4%増と前年と同水準で推移した。
7日に東京都内で記者会見した河田浩樹専務理事は、25年度の見通しについて「不確定要素が多い」とした上で、「会員企業と話す中で海外は積極的に対応するという声をよく聞く」と説明。発注者別を見ると特に公共の自己資金が伸びており、「発注者からの信頼が大きくなっていると解釈できる。アジアに関しては国内総生産(GDP)が平均4~5%伸びており人口増加が予想されることから建築、インフラに対する需要が増えるだろう」と期待を示した。
佐々木会長は「今後も会員各社がわが国建設企業の強みである品質、技術力の優位性を生かして事業活動を展開していけるよう協会として支援し続ける。プロジェクト賞受賞案件など、わが国建設企業が実施した質の高い海外のプロジェクトの積極的な広報にも努めていきたい」と述べた。