国土交通省は、元請と下請を含む建設業団体や民間発注者団体などが一堂に会した「建設キャリアアップシステム(CCUS)処遇改善推進協議会」の会合を東京都内で12日開き、改正建設業法を踏まえた適正な労務費の確保と技能者の経験・技能に応じた適正な賃金の支払いに向けた取り組みを、建設業に関わる幅広い関係者全体で進めるよう呼び掛けた。同省の平田研不動産・建設経済局長が「まず大事なのは契約当事者間の適切な価格交渉だ。受発注者双方が集まるこの場で、改めて認識を共有したい」と訴えた=写真。
同協議会はCCUSを活用した技能者の処遇改善などについて産学官で話し合う。国交省など行政機関に加え、建設業82団体、建設業関係8団体、民間発注者・設計関係16団体などで構成。ここ数年は毎年度、構成団体全体で取り組む重点課題を掲げており、今回は改正業法で規定された「労務費に関する基準(標準労務費)」をベースとした見積もり・契約規制や、労働者の技能などの評価に応じた処遇確保の努力義務に対応した取り組み事項を盛り込んだ。
具体的には労務費に加え、法定福利費などの必要経費を内訳明示した見積もりの徹底について、改正業法に基づき一層推進する。民間発注者を含む注文者の立場では、内訳明示の内容を考慮するよう努めることなどを徹底する。
重点課題ではCCUSの利用拡大も図る。CCUS登録データを民間の労務安全システムで利用し事務作業を省力化する取り組みを関係者の理解を得て推進。27年度に始まる育成就労制度を見据え、外国人材の育成・処遇改善に向けたCCUSの活用を検討する。働き方自己診断チェックリストの活用など一人親方対策も引き続き推進。建設業退職金共済(建退共)の電子申請方式が今秋からCCUSと完全連携されることを踏まえ利用を促進する。