建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)の会長や副会長らが11日の通常総会・理事会後に記者会見した=写真。役員改選を経て再任され3期目を迎える岩田会長は、中長期的に取り組む重点課題として▽請負価格の適正化・安定化▽稼働率の安定化▽教育のスキームづくり-の三つに注力すると表明。当面は中央建設業審議会(中建審)で議論が続く「労務費に関する基準」の実装に向け「建専連として皆さんの力を借りて強力に進めないといけない」と話した。
役員改選では会員団体の会長交代に伴い、伊東銀平全国建設室内工事業協会会長が新たな副会長に就いた。ほかの副会長はいずれも再任。欠員が出ていた理事には藤川幸造全国管工事業協同組合連合会会長が加わった。
三つの重点課題のうち請負価格の適正化・安定化は標準労務費の実装がメーンとなる。「ここで一挙に変えて夢のある業界のビジョンが見えないと担い手は確保できない。業種・業態で多少違っても、浮遊する請負価格を安定させて職人に賃金を支払い、人に来てもらいたいのは共通だ」と会員団体間の一致団結を訴えた。「私の代ではなし得ない課題もあるだろうが、(取り組みの)スキームはつくっておきたい」と狙いを話し、職人などの教育は国や業界全体、さらには発注者も参画する在り方を目指す考えを示した。
副会長らも標準労務費の運用が担い手確保につながることに期待を示しつつ、各業種の現状を踏まえた課題などに言及。三野輪賢二副会長(日本型枠工事業協会会長)は、新規入職者の獲得競争が激化する中で外国人材の注目度が高まる中、技能資格などで「育成就労と特定技能をどうリンクさせるか」を課題に挙げた。佐藤隆彦副会長(全国コンクリート圧送事業団体連合会会長)は、時間外労働上限規制の適用を踏まえ「現行ルールを守りながら、柔軟な働き方を認めてもらえるよう呼び掛けていきたい」と話した。
大木勇雄副会長(日本建設躯体工事業団体連合会会長)は「重層構造で下に行くほど賃金が安くなる。その見直しもわれわれの問題として取り組む」との考えを示した。伊東銀平副会長は、内装工事の専門工事業団体として「来月に標準労務費のプロジェクトチームをつくり秋ごろまでにまとめたい」と話した。