日本建築学会の小野田泰明会長(東北大学教授)ら幹部は13日、東京都港区の建築会館で就任会見を開き、今後の方針を明らかにした。建築の価値や学会の知財を国内外に発信し、希望ある社会をつくるきっかけ、礎になる考えを表明。さまざまな活動方針を掲げる中で「学会が持つ価値ある知財を海外に発信するプラットフォームの位置付けと、人口減少社会での持続可能な枠組みの実装の二つを任期の2年で実現したい」と述べた。
安全・安心やカーボンニュートラル(CN)など建築を取り巻く環境を踏まえ、小野田会長は「人口減少や建設費高騰、職人不足などにより今まで普通にできていたことが難しくなっている」と指摘。「こういう時こそいろいろな知恵を集めながら、われわれの社会を再構築していく。その際の起点として建築の役割は大きい」と訴えた。学会内にとどまらない幅広い議論が必要だとした。
新任の五十田博副会長(京都大学生存圏研究所教授)は「建築学会は140年にそろそろ到達する歴史を持つ。小野田会長と密に対話しこれまでやってきたことを継承したい」、楠浩一副会長(東京大学地震研究所副所長・教授)は「学会は建築に関するあらゆる“知”が集まっている。知の結集として世の中が困った時、即座に新しい何かを提案でき、新しい技術や材料が出てきた時も社会がいち早く採用できるよう学術を進める」と抱負を語った。
産業界の代表として就任した藤本裕之副会長(清水建設常務執行役員設計本部長)は「社会、産業インフラの造り手としていろいろなニーズのフロントにいる。さまざまな課題に対し学術とは異なるアプローチだが、学会の知財の社会実装に向けた方策などを中心に貢献したい」と話した。
続投する山梨知彦副会長(日建設計チーフデザインオフィサー)は「建築は多様性を持っている。学会で何ができるのか身にしみて感じている。小野田会長の強力なリーダーシップの下、民間の立場から頑張りたい」と述べた。