東京・千代田区/神保町エリア街並み再生へ検討加速、25年度内にも都に申請

2025年6月16日 行政・団体 [4面]

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 東京・千代田区が本のまち・神保町エリアの再編に向け、検討を加速している。エリア内には老朽化した建物が多く、オープンスペースも不足。無電柱化も遅れ、防災上の課題が大きい。区は関係者間の連携を強め、小規模建物の改修や無電柱化などを一体的に進めたい考え。2025年度内にも東京都の「街区再編まちづくり制度」に基づく「街並み再生地区・街並み再生方針」を都へ申請する。関連する地区計画は26年度以降の決定・告示を目指す。
 検討状況を9日公表した。神保町エリアは東西に通る靖国通りを軸に、南北へ広がっている。部分的に再開発や大規模建て替えの動きはあるが、中小規模の建物が密集する箇所も多い。長屋形式で複数の店舗が一体化しているケースもあり、建て替えに向けた合意形成が困難。建て替えた場合は駐車場の付置義務が影響し、店舗スペースが狭まる恐れがある。
 来街者が滞留できるスペースも不足している。細い街路も多く、無電柱化の進展状況にも課題がある。地下鉄駅から地上までを結ぶバリアフリー動線も整っていない。
 区はエリアマネジメント組織を立ち上げ、関係者で連携して課題を解決する方針。具体的には中小規模建物のリノベーションを促すため、一部費用を補助。建て替え期間中は店舗営業の受け皿として、中規模以上の建物に協力を求める。リノベーションや無電柱化を通じ、店舗と一体的に利用できる街路や広場空間を創出。駐車場の付置義務は、中規模以上の建物に駐車場を集約して影響を最小限に抑える。
 区は現在、実現に向けて地元協議会と議論しており、11月ころまでに合意を得たい考え。成果を街並み再生地区・街並み再生方針に盛り込んで都に申請する。都の指定は25年度末ころと見込む。同年度には駐車場地域ルールの内容も議論。地区計画の決定・告示と駐車場地域ルールの策定は26年度以降を予定している。