振興基金/バックオフィス効率化支援、複数社グループ対象にシステム間連携の普及促す

2025年6月16日 行政・団体 [1面]

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 建設業振興基金(振興基金、谷脇暁理事長)は、建設業の現場支援や調達・経理など、いわゆるバックオフィス業務のさらなる効率化を後押しする。関連する民間システムが乱立する中、取引先が利用するシステムとの互換性がない場合などに非効率が生まれている現状を問題視。複数の元請や下請が参画するグループを対象に、システム間の互換性を持たせながらデジタル化への対応を資金と人材の両面で支援するモデル的な取り組みを始める。支援対象を秋ごろに公募する。
 建設業関係者や有識者を交え昨夏に始めた「建設業バックオフィス業務のDXに関する勉強会」の報告書を13日公表した。バックオフィス業務を、現場以外の本支店で行う▽現場管理のサポート業務▽企業間(元請・下請間など)の取引業務▽関係機関への届け出・申請業務▽内部管理(労務管理など)業務-の四つの領域に分け、現状と課題を整理した。
 根強く残る紙文化や中小・零細企業のデジタル化対応の遅れに加え、課題として浮かび上がるのは民間システムが乱立した結果、かえって非効率を招いている事態だ。労務・安全管理に用いるシステムが現場ごとに異なるため、下請が別々の対応を求められ手間がかさむケースなどがある。取引先が1社に限定されず現場ごとに変わる場合が多い「多対多」の産業構造も念頭に、業界共通のルール・基盤の整備と普及が有効な手段と指摘した。
 振興基金は電子商取引の標準システム「CI-NET」の普及に取り組むとともに、デジタルインボイスの日本標準仕様「JP PINT」を介して他のシステムとのデータ連携を実証実験中。建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録データを、API連携するシステムに直接反映できるよう関係者で合意し、年度内にも運用を順次開始する。こうした互換性のあるシステムの導入に取り組む複数企業のグループなどを支援対象とする方向だ。
 中小企業向けにデジタル化の助成制度や、労働関係法令に基づく届け出の内容、電子記録債権の導入効果などの周知にも取り組む。