国交省/資格者証携行、一部不要に/安衛特別教育など「建キャリ」画像表示で

2025年6月17日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、建設現場での作業に必要となる資格者証などの一部が、技能者個人のスマートフォンに画像データを表示することで携行不要になると明確に示した。当面の対象資格は▽労働安全衛生法(安衛法)に基づく特別教育▽安衛法に基づく職長教育・安全衛生責任者教育▽登録基幹技能者-の三つ。資格所持の真正性を確保するため、建設業振興基金(振興基金、谷脇暁理事長)が提供する建設キャリアアップシステム(CCUS)登録技能者向けのスマホアプリ「建キャリ」で画像表示する場合を前提とする。
 安衛法令では現場作業に従事する際、紙の資格者証などの携行が義務付けられている業務がある。発破作業の資格者証やクレーンなど建設機械の運転免許証などが該当するが、これらを含めて技能者は何十種類も紙の資格者証をポケットなどに入れておかなければならず、作業の支障となり原本の紛失などにもつながる恐れがあった。
 技能者の資格情報を登録したCCUSを活用し、紙の資格者証を携行不要にできれば技能者本人にとって大きなメリットとなる。国交省は安衛法令を所管する厚生労働省とともに検討し、法令上の携行義務が課されていない特別教育の修了証などであれば、建キャリで画像データを画面表示することで資格所持を証明することに問題がないことを確認した。
 現状で法令上の携行義務がある資格者証などをスマホでの画像表示で代替するには、法改正などが必要となるが、これらも含めて国交省は建キャリを代替手段として活用できる範囲を今後も拡大していきたい考えを示している。
 建キャリはCCUS登録技能者であれば誰でも無料でダウンロード可能。就業履歴や保有資格などを手元で確認でき、資格者証も精細に画面表示できる。振興基金は、他産業にはない「日本初の業界横断的なスマホアプリ」とうたい、技能者本人がメリットを実感できるツールとして利用を呼び掛けている。