国交省/3Dモデル工事契約図書化/全国で試行着手し27年度本格導入

2025年6月18日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、直轄土木事業を対象に設計段階で作成した3Dモデルを工事契約図書として活用する試行を始める。3Dモデルを作成・納品した設計業務をすべて試行対象にする方針。2025年度に100件程度の実施を想定する。3Dモデルの契約図書化で生じる課題や、3Dモデルに代替されることで削減可能な2D図面の種類などを抽出。26年度に試行を拡大しながら検討成果をガイドラインにまとめ、27年度以降の本格導入を目指す。
 17日に開いた産学官組織の「BIM/CIM推進委員会」で説明した。現状は3Dモデルを参考資料として扱い、責任の所在があいまいな状態にある。仮に3Dモデルで工事を実施しても2D図面の修正が必要になるなど、非効率な部分もあった。国交省は3Dモデルを活用した設計が受発注者双方にとってメリットになると訴える。データを用いた設計照査のシステム化で設計精度が向上し、関係者間の合意形成の円滑化で手戻りの削減なども期待できるとする。
 これまで出先事務所の一部で先進的な取り組み事例があったが、今後は課題抽出を目的に全国一律で試行に取りかかる方針だ。3Dモデルと2D図面を両方扱うことで非効率、負担増となる部分を抽出し課題を解消する。施工幅員で積算条件が異なる土工では、積算のための数量算出を実施するため手作業で3Dモデルを加工する必要があるなどの課題もある。こうした3Dモデルの活用が必ずしも効率化につながらない場合の対応も検討する。
 3Dモデルと2D図面を別々に作成する場合に必要な整合確認の方法は、建設コンサルタンツ協会と連携したルール策定も検討する。24年度実施した整合確認の試行で、ソフトウエアを使って自動的に行う場合や、代表断面だけ2Dと3Dを重ね合わせて人手で行う場合など、確認方法がさまざまあることが分かっている。ルール策定では作業の省力化も念頭に置きつつ、確認すべき部分や実施方法を明確化する。