国交省ら/公共工事・業務の実態調査開始、全市町村に独自歩掛かり作成など聴取

2025年6月19日 行政・団体 [2面]

文字サイズ

 公共工事入札契約適正化法(入契法)と公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に基づく工事と業務の2025年度実態調査が始まった。国土交通、財務、総務の3省による工事の「入契調査」では、国交省直轄工事の標準歩掛かりと異なる独自歩掛かりの作成状況や、最新の公共工事設計労務単価の採用状況などを新たに聴取。発注業務に当たる市町村職員の育成に向けた都道府県の支援動向も探る。
 調査対象は国の省庁や特殊法人、地方自治体の計1927団体。工事の入契調査は16日付で調査票を送付した。前回までは品確法の運用指針に基づき実施していた設計や測量、調査といった業務の実態調査は、24年6月公布・施行の改正品確法で国による発注事務の実態把握や結果公表が努力義務化され法律事項となったことから、品確法に基づく「業務発注事務調査」に衣替えし17日付で調査票を送った。いずれも回答結果の集計作業を経て12月に結果を公表する。
 国交省は24年度補正予算で費用を確保した新規事業として、自治体発注工事の積算歩掛かりの実態調査を実施中。この一環として全市町村をカバーする入契調査を通じ、国交省や都道府県の歩掛かりを準用しているかどうかや、一部の歩掛かりを独自で設定しているかどうかを聞く。市町村が発注する小規模工事では、直轄工事の歩掛かりがそぐわないとの声が地域建設会社などから挙がっていることが背景にある。
 市町村職員の育成支援は、改正品確法で国と都道府県の努力義務となった。これを踏まえ講習会の開催や研修への受け入れ、民間研修機関の活用などの事例を都道府県から収集する。
 改正品確法と、それに伴う改正入契法では、入契法適正化指針に則した措置の実施を自治体に「勧告、助言、援助」できるとの権限を国に付与した。以前まで国の働き掛けは「要請」止まりだったが、改正法では要請後の対応実態を入契調査を通じて個別に把握し、必要であれば勧告などが可能となった。