東京都下水道局は18日、墨田区にある両国ポンプ所の内部を報道公開した。墨田区と江東区の一部のエリア(約421ヘクタール)に降った雨水を地下で取り込み、ポンプでくみ上げて近くを流れる隅田川に放流する。ポンプは全部で6台配備し、25メートルプールの水を5秒で排水する能力を持つ。水害を未然に防ぎ、都民の安全・安心な暮らしを守る重要な施設の一つになっている。
両国ポンプ所の所在地は墨田区横網1の4の12(敷地面積9000平方メートル)。2002年4月に完成した。地下5階地上1階建てで、建物面積は6869平方メートル。両国国技館と江戸東京博物館の間に位置し、同博物館との合築構造となっている。
両国ポンプ所には地下で接続する直径5・25メートルの両国幹線から雨水が流入する。施設に入るとまずは沈砂池にあるろ格機で一緒に流れてきたごみや砂などの浮遊物を取り除く。砂などはトラックで外部に運び出す。
沈砂地を通った水は、地下5階にある大型ポンプ4台と小型ポンプ2台の合計6台を使い、地上までくみ上げる。過去10年間で6台をフル稼働したのは18年9月と23年6月の2回。最近では6月3日の雨で大型ポンプ1台を動かしたという。
ポンプの動力源は地下3階にある電動機。ポンプ1台につき1台の電動機を配置している。大型ポンプに対応する電動機の出力は3730キロワット。小型ポンプ用は1750キロワットとなっている。停電時には2台の非常用発電機を使い、ポンプを動かす。2台で5万世帯の電気をまかなえるという。発電機の燃料は灯油で、18時間以上動かせるよう準備している。
雨水は最終的には地上から1メートルの高さまでくみ上げられ、隅田川に放流する。
今後、集中豪雨や台風が多い時期に入る。都下水道局ではポンプ所などを積極的に活用し、内水氾濫の防止に注力する方針だ。