盛土規制法施行2年/111団体が区域指定完了、政府目標達成の見通し

2025年6月20日 行政・団体 [1面]

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 2021年7月に静岡県熱海市で発生した土砂災害などを受け、危険な盛り土を包括的に規制する「盛土規制法」が施行されてから2年が経過した。都道府県や政令市、中核市では危険な盛り土を規制する区域の指定が急ピッチで進む。国土交通省によると1日時点で全体の約86%に当たる111自治体が指定を完了。残る自治体の大半も指定見通しを公表している。施行後5年以内に規制区域の指定を完了させるという政府目標はほぼ達成できる見通しとなった。
 国交省によると、規制区域の指定を完了したのは都道府県が38団体、政令市が19団体、中核市が54団体。25年度に入って規制区域の指定が急速に進み、3月末時点で25団体にとどまっていた指定済み自治体が、6月1日までに86団体増えた。特に4月1日の年度初めに集中し、39団体が盛り土規制の運用を同日に始めた。
 規制区域の指定が済んでいない自治体の多くは、基礎調査や一般意見の公募などの手続きが完了し次第、規制運用を始める方針を表明している。30日には福井県と福井市、7月1日に埼玉県と松江市、同18日には新潟県と新潟市が運用開始。さらに島根県や香川県、高松市、福岡県も10月から適用する予定。佐賀県も10月以降の適用を目指している。
 26年4月には青森県と青森市、八戸市で運用を始める。沖縄県と水戸市、福岡県久留米市も26年度からの適用を発表している。具体的な開始時期を公表していない那覇市も「県と足並みをそろえて適用を目指したい」としており、沖縄県と同時期の26年度からの運用が濃厚となっている。
 国交省は盛土規制法に基づく許可申請などの件数も調査している。23年度は35件の申請があり、このうち30件150・8ヘクタールを許可した。現在24年度の施行状況を調査中。早ければ今夏に結果をまとめ、公表する予定だ。