国土交通省は、建設業界の重層下請構造の実態を把握する新たな調査を開始した。建設業団体などを通じて傘下の建設業者にウェブアンケートへの協力を依頼。元請会社や下請会社、一人親方など現場のさまざまな立場からの回答を呼び掛ける。まずはできるだけ多くのサンプルを集め、この結果を踏まえ個別ヒアリングで現場単位の実態を深掘りする。重層化に起因する非効率や、技能者への不利益の発生状況などを確認し、今後の施策検討に生かす。
関係団体に23日付で協力を依頼した。元請団体や専門工事業団体に加え、一人親方が多く加入する全建総連などが依頼先に含まれる。専用の回答フォーム(https://forms.office.com/r/JfxbTb2y5j?origin=lprLink)を設け、7月31日まで受け付ける。
過去に限定的にサンプルを収集し、重層化の流れを調べた例があるが、幅広くアンケートの形で調査に乗り出すのは初めて。調査費用は2024年度補正予算で確保した。
重層下請構造は建設工事の専門化・分業化や仕事量の増減・繁閑への対応などを背景に形成されてきた歴史的経緯がある一方、生産性の低下や労務費へのしわ寄せなどの弊害の是正が必要な現状も指摘されている。施策検討には正確な実態把握を踏まえた慎重な議論が必要となる。
アンケートでは各許可業種の業務実態や各次数の役割分担など重層構造の実態やパターンを把握しつつ、工事費用・工期や技能者の労働環境への影響などを聞く。現場のさまざまな立場から見た重層化に起因する課題や、業種・職種ごとに抱える課題の違いなどの把握に重点を置く。